多発性骨髄腫患者さんのための「こころと話そうプロジェクト」スタート。7月末まで ――ヤンセンファーマ株式会社

[2022.04.11] 取材・文●「がんサポート」編集部

2022年3月23日多発性骨髄腫患者さんのための「こころと話そうプロジェクト」——ヤンセンファーマ株式会社セミナーがハイブリットで開催された。はじめに近畿大学医学部血液・膠原病内科主任教授の松村到さんから「多発性骨髄腫とは」について講演があった。続いて、製薬会社のヤンセンファーマ株式会社メディカルアフェアーズ本部の小野由貴さんから、「こころと話そうプロジェクト」の説明があった。最後に、松村到さん、漫才コンビ宮川花子さん(多発性骨髄腫患者)の夫、宮川大助さんと患者代表のトークセッションが行われた。

多発性骨髄腫は、白血球の1種である形質細胞のがん化

近畿大学医学部血液・膠原病内科主任教授の松村到さんは、血液は、大きく「血漿成分」と「血球成分」で構成されている。血漿成分には各種タンパク(凝固因子、アルブミン、γグロブリンなど)、脂質、糖質、電解質など生命維持には欠かせない成分、血球成分は、赤血球、白血球、血小板である。その白血球(リンパ球)の1種であるB細胞から分化してできる形質細胞が、がん化することで多発性骨髄腫が発症すると語った。

本来、形質細胞は、体内に侵入した細菌やウイルスと戦う多種類の免疫グロブリンを産生しているが、形質細胞ががん化すると、1種類の免疫グロブリン(Mタンパク)のみを産生し、正常の形質細胞の機能が抑制される。

その結果、貧血、血液・尿中の高タンパク、骨病変、高カルシウム血症、免疫力の低下などの、さまざまな症状が現れてくるという。

多発性骨髄腫の疫学について、2018年のデータによると罹患者数約7,800人。男女とも60歳以上の高齢者の増加が目立つとのこと(図1)。

図1

新規薬剤の開発で予後が改善

多発性骨髄腫の治療は、無症候骨髄腫の時点では経過観察、症候性骨髄腫と判断された時点から治療開始となる。65歳未満の若年者には、自家造血幹細胞移植併用大量化学療法を行うケースもあるという。これは、患者さんの造血幹細胞を採取・保存しておき、大量化学療法後に造血幹細胞を体内に戻す治療法である。

多発性骨髄腫の特性として、再発、寛解(かんかい)を繰り返し、完全に治癒するのが難しい疾患であるが、近年、新規薬剤の導入により、以前に比べ予後が改善していると結んだ。

患者さんのアンケートから生まれた「こころと話そうプロジェクト」

ヤンセンファーマ株式会社メディカルアフェアーズ本部の小野由貴さんは、「こころと話そうプロジェクト」立ち上げに至った経緯について以下のように述べた。

ヤンセンファーマは、昨年の3~4月にかけて多発性骨髄腫の患者さんを対象としたアンケート調査を実施した。その結果、「医師と一緒に治療を決定したい」、「自分の意見を取り入れ、医師に決定してほしい」という患者側からの意向が明らかになった。そこで会社としては、患者さんと医療従事者とのコミュニケーションにも生かせるような支援をすべきと、「こころと話そうプロジェクト」を立ち上げたという。

その内容は、少し先の自分宛に、患者さんが希望や想いを「こころレター」としてしたため事務局に送付する。そのメッセージカードは、患者さんが指定した日に自分に届くというもの。改めて自分の大切な想いを見つめ直し、それを周囲に伝え、話し合う重要性を考えてもらう機会を生み出していくものであるとのこと。実施期間は2022年7月31日まで(図2)。

図2

・プロジェクト名:こころと話そうプロジェクト
・対象:多発性骨髄腫の患者さん
・「こころレター」実施期間:2022年3月24日~2022年7月31日
 ※「こころレター」は、7月17日(日)までにご投函ください。7月20日(水)を必着とし、それ以降届いたものにつきましてはご対応できない場合があります。返信希望日は、投函日から2週間後~7月31日をご記入ください。
・「こころレター」のお問い合わせ:
 「こころと話そうプロジェクト」事務局 Tel:0120-633-255
 ※平日9時~17時まで(土日祝日は対応していない)

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