イミフィンジ胆道がんへの承認取得/胆道がん患者アンケート調査 アストラゼネカ・セミナー報告

[2023.03.01] 取材・文●「がんサポート」編集部

2023年2月7日、アストラゼネカ株式会社主催、胆道がん承認取得/患者調査セミナー「進行胆道がん治療におけるイミフィンジの役割とは~免疫チェックポイント阻害剤による胆道がん治療の変革~」が開催されました。

神奈川県立がんセンター総長の古瀬純司さんが、アストラゼネカが全国47都道府県で行った胆道がん患者さんへのアンケート調査(調査期間2022年11月1日~30日・回答者数203名)結果と、胆道がんに新しく承認されたイミフィンジについて話しました。

胆道がんの認知度の低さが調査で浮き彫り

胆道がん患者さんについての調査内容は、以下の3点でした。

①受診~診断まで:自覚症状、医療機関受診状況、医療機関で胆道がんと確定診断されるまでにかかった期間、受診した医療機関の数

②確定診断されたとき:胆道がんに関する病識、診断時に必要だったこと、診断から初回の手術や薬物療法開始までの期間、セカンドオピニオン実施状況と受けなかった人の理由

③治療中や治療後の日常生活の変化:胆道がんの診断後の日常生活の変化の状況、変化を感じた内容、人間関係における変化(図1)

このアンケートの中で、古瀬さんが最も驚いたのは、胆道、または胆道がんの認知度の低さだったそうです。 「胆道、胆道がんの認知度」についての質問に対して、胆道がんと診断される前から胆道、または胆道がんについて知っていた(ある程度知っていた/詳しく知っていた)は2割程度、約半数は全く知らなかった(名前も聞いたことがなかった)。

また、「身近な人に胆道がんと診断されたことを知らせるのにハードルになったこと」の質問に対して、「相手が胆道がんという病気をあまり知らなかった」が35%と最も多く、次いで「とくになかった」30%、「胆道がんがどのような疾患か説明するのが難しかった」 28%。

古瀬さんは、今回の調査結果のまとめとして「胆道がんの認知度が極めて低く、その低さは胆道がん患者さんが周囲に病気になったことを知らせ、困りごとを相談する上でのハードルになっていることがわかりました。また、初期症状や特有の自覚症状に乏しい胆道がんは、医療機関の受診が遅くなりがちなことも明らかになりました。

胆道がんは体力低下が著しく、日常生活への影響が大きいうえに、病状急変で予定外の入院を余儀なくされることも多い疾患です。患者さんが身の周りのサポートを求めやすい環境づくりにむけて、胆道がんの正しい情報提供と認知向上が極めて重要。また、患者さんにはとくに、セカンドオピニオンやがん相談支援センターを活用いただきたいと思っています」と話しました。

胆道は肝臓で産生された胆汁を小腸へ送る

胆道は、肝臓でつくられる消化を助ける胆汁を小腸に送る働きをしています。食べたものが十二指腸に届くと、胆のうに一時的に貯められ、濃縮された胆汁が十二指腸に送り出され、小腸での脂肪の消化を助けます。

胆道は、胆管、胆のう、十二指腸乳頭の3つに分けられ、胆管は、肝臓に張り巡らされた細い管(肝内胆管)として始まり、それらが合流して肝臓の出口である肝門部で1本にまとまり総肝管を形成します。総肝管は、胆のうとつながる胆のう管が合流して総胆管となり、膵臓の中を通って、膵液を運ぶ膵管とともに十二指腸につながります。このつなぎ目を十二指腸乳頭といいます(図2)。

胆道がん薬物療法に新たな選択肢

胆道がんは、悪性度が高いがんです。2021年、日本では約23,300人が胆道がんと診断され、女性のがん関連死の第6位、男性は第7位でした。胆道がんは早期では無症状のことが多く、新規患者さんの多くが、進行期になってから診断されています。全病期の胆道がん患者さんの 5年生存率は約 19~31%ですが、進行胆道がん患者さんは2.7~5.6%と予後不良です。

そして、これまで10年以上限られた治療法しかなかった切除不能胆道がんに対して、免疫チェックポイント阻害薬イミフィンジ(一般名デュルバルマブ)の併用療法が「TOPAZ-1試験」の結果、切除不能胆道がんの1次治療として2022年12月に承認されました。

「TOPAZ-1試験」とは、イミフィンジと標準治療(GC療法:ゲムシタビン+シスプラチン)の併用療法群(n=341)とプラセボ+GC療法群(n=344)を比較した試験です。

全生存率(OS)を比較すると、イミフィンジ+GC群は、プラセボ+GC群に比べOSを有意に延長し、優越性が検証されました。(OS中央値 12.8カ月 vs 11.5カ月、ハザード比 0.80、p=0.021)。24カ月時点での全生存率は、イミフィンジ+GC群24.9%、プラセボ+GC群10.4%でした(図3)。

主な有害事象は、イミフィンジ+GC群で、貧血(48.2%)、悪心(40.8%)、便秘(32.2%)などでした。さらに、イミフィンジ+GC群の12.7%、プラセボ+GC群の4.7%に免疫介在性有害事象が認められました。Grade3または4の免疫介在性有害事象の発現率はイミフィンジ+GC群で2.4%、プラセボ+GC群で1.5%でした。

「今後、胆道がんの薬物療法はイミフィンジ+GCがニュー・グローバル・スタンダードになるでしょう」と古瀬さんはセミナーを結びました。

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