ティッシュエキスパンダーを入れてから放射線治療は可能?
乳がんが判明し、右乳房の全摘術を受ける予定ですが、インプラント(人工物)を使って再建したいと考えています。知り合いの乳がん体験者から、「術後放射線治療を受ける可能性があるのなら、その前にティッシュエキスパンダー(組織拡張器)を入れたほうがいいのではないか」と言われました。ティッシュエキスパンダーを入れた後、放射線治療はできますか。また、放射線治療を受けた後、乳房を再建するのは難しいのでしょうか
(35歳 女性 埼玉県)
A 放射線治療は問題ないので 入れてからのほうがよい
ご相談者のお知り合いの方のアドバイスの通り、放射線治療を受ける前にティッシュエキスパンダーを入れたほうがよいでしょう。放射線を受けた組織は火傷のような状態になりますので、通常の皮膚よりも硬く、伸びにくくなります。硬くなった状態で乳房再建をすれば、中に入れるインプラントが柔らかいものでも、それを包み込む皮膚は硬いままなので、硬い乳房になってしまいます。
ティッシュエキスパンダーは放射線を照射しても、壊れることはありません。インプラントによる再建を希望される場合は、乳がんの手術と同時にティッシュエキスパンダーを入れ、抗がん薬治療を行い、インプラントに入れ替えた後、放射線治療を行うことが一般的になっています。
放射線治療をした後、再建ができないとは思いません。ただ、放射線治療をしていない方と比べると難易度が上がることは確かですし、被膜拘縮(挿入したインプラントの周囲に被膜ができて厚くなり、硬くなってしまう状態)も起こりやすくなるので注意が必要です。施設によっては放射線治療後のインプラント再建を行わないところもあります。
もし放射線治療後のインプラント再建を望まれるのであれば、患部のケアを欠かさないことが大切です。照射が終わったら毎日、保湿剤を塗ってマッサージを行ってください。また乳がん手術の際、皮膚や脂肪組織を大きく切除していると、インプラントでは放射線治療後の再建ができない可能性があります。インプラント再建に詳しい専門家による見極めが必要ですので、相談されるとよいでしょう。