新規承認薬により、治療の選択肢が大幅に広がった
監修●山口研成 がん研究会有明病院消化器センター消化器化学療法科部長
『胃癌治療ガイドライン』が改訂され、年内(2017年秋)には第5版が発行される予定だ。新ガイドラインでは、新たに承認された薬剤や最新のエビデンス(科学的根拠)に基づき、切除不能進行・再発胃がんに対する化学療法の薬剤やレジメンが増え、患者さんにも朗報となりそうだ。
プレアルブミン値が合併症発生の有力な予測因子に
監修●井田 智 がん研究会有明病院消化器センター消化器外科胃外科副医長
胃切除術後に起こる術後合併症は、手術直前の栄養状態が悪いほど起こりやすいことが明らかになった。栄養状態の指標となるのはプレアルブミン値。血液を調べるだけの簡便な検査で、術後合併症が起きやすいかどうかを予測できる。検査値が低かった場合には、経腸栄養剤を投与。それによってプレアルブミン値が上昇し、術後合併症を減らせることもわかってきた。
隣接する胃や頭頸部などに重複することが多い
監修●川田研郎 東京医科歯科大学消化管外科学分野講師
食道がんは,胃がんや大腸がんなどと比べ難治がんの1つとしてあげられる。また、胃や頭頸部などの他臓器にも重複することが多いがんでもある。そこで、重複することに注目して経鼻内視鏡で治療成果をあげてきた専門医に伺った。
治療成績を向上させるための様々な工夫
監修●大幸宏幸 国立がん研究センター中央病院・東病院食道外科長
食道がんの化学放射線療法を受けたものの、がんが残ってしまった場合(遺残)や、いったん消失した後に再発した場合には、サルベージ(救済)食道切除術が行われることがある。この手術は合併症が起こりやすく、死亡率も高いことが知られている。治療成績を少しでも向上させるため、化学放射線療法の改良に加え、手術の手技にもいろいろな工夫が加えられている。その現状を専門医にうかがった。