ナビゲーター良子の、医療向けウィッグサロン突撃レポート
脱毛ケアにはどんなウィッグがいいの?
医療向けウィッグは、化学療法による脱毛で悩んでいる患者さんのためのものです。一般的なウィッグと比べて、選び方や必要なサービスなど、なにが違うのでしょうか? そこで、医療向けウィッグに定評のあるスヴェンソンのウィッグサロンに、「がんと暮らし」のナビゲーター良子が突撃取材を敢行。後悔しないためのウィッグ選びをレポートします。
医療向けウィッグは、プロに早めの相談が
こんにちは! がんと暮らしナビのナビゲーター、良子です。
今回わたしがお邪魔したのは、医療向けウィッグでお馴染みのスヴェンソンの新百合ヶ丘店です。小田急線新百合ヶ丘駅北口から歩いて5分、聖マリアンナ医科大学付属研究所ブレスト&イメージング先端医療センター付属クリニックと同じビルの1階にあります。
実はわたし、医療向けウィッグの専門サロンを訪ねるのは初めての経験! 白で統一された店内は明るく清潔感に溢れ、暖かく迎えてくれる女性スタッフは4名全員が美容師さんです。
最新のウィッグスタイルが飾られた開放感のある空間とは別に、奥には個別に相談や試着のできるプライベートルームや施術ルームがあって安心です。脱毛が始まったときや自髪が完全に生え揃うまでは、オープンスペースの美容室へは行きにくいけれど、ここなら人目も気にならずゆっくりと利用できそうです。
女性のがん患者さんにとって、医療向けと一般的なウィッグの違い、また専門の医療向けウィッグサロンで受けられるサポートってどんなものかを詳しくレポートしますね。
お話を伺ったのは新百合ヶ丘店の店長、中村仁美さん。美容師歴16年で、医療向けウィッグのプロとして毛髪技能士の資格を取得されています。毛髪技能士とは、育毛理論や毛髪に関する高度な知識を備えた毛髪の専門家で、治療スケジュールに沿った頭皮のお手入れはもちろん、治療中に必要な情報や快適に過ごすためのお役立ちアイテムまで紹介してくれます。
中村さんは、これまでに800人くらいの女性がん患者さんの相談にのってこられたそうです。患者さんは、脱毛が自分にどんな変化を及ぼすのか、常に不安を抱えています。そんなときも多くの患者さんを見てきた経験から、脱毛が始まったときの頭皮の洗い方や治療終了後から始める育毛のマッサージ方法についてなど、具体的な対処方法を話すことで多くの患者さんは安心されるそうです。
まず最初に大切なのは、カウンセリングです。実は、これがとっても重要なんですって。
「カウンセリングでは、現在治療前なのか治療後なのか、といった患者さんの現状をまず確認します。脱毛症状は時期や毛量が人によって異なりますし、心の状態も人それぞれです。ウィッグの使用時期・期間・目的も異なります。そのためにも、じっくりお話を伺って患者様1人ひとりの詳細情報をカルテに起こします」(中村さん)
それから医療向けウィッグを選ぶ際の大切なポイントは「タイミング」で、なるべく早い時期のほうがいいそうです。というのも、気持ちに余裕をもってウィッグを検討するには治療前が最適だからです。それに、ウィッグに慣れる時間が持てるので、自髪から脱毛への移行期間を計画的に進めることができる効果もあるそうです。
医療向けウィッグに必要な機能と条件
カルテができたら、さっそくウィッグを選んでみます。
ウィッグの毛質には、人毛(人毛に特殊加工したもの)、人工毛(合成繊維)、ミックス毛(人毛+人工毛)の3種類があり、種類も、既成品、セミオーダータイプ、フルオーダータイプがあるんですって(表1)。
いろんな組み合わせがあって、どれを選んだらいいか迷っちゃいますね。
「人毛は自分でもブローできるので、アレンジがしやすい反面値段は高めです。人工毛は軽量・安価でスタイル崩れがしにくいですが、熱や静電気などに弱く、毛先が傷みやすいためあまりロングヘアーには適しません。ミックス毛は人毛と人工毛の割合がさまざまあるため、カットアレンジがきき、手入れも楽で耐久性もあり、価格も両者の中間ぐらいです」
へー、いろいろあるんだ。で、なにがイイのかしら?
「スヴェンソンで1番選ばれているのは、セミオーダータイプのウィッグです。患者様の多くは、脱毛前の自分のヘアスタイルとどれだけ変わらずにいられるかを期待されていて、『ウィッグとわからない自然なものが欲しい』といった声がとても多いです。セミオーダータイプの場合、専門のウィッグスタイリストが患者様1人ひとりに合わせたカットとスタイル作りをします。人工皮膚を付けたタイプは自然な分け目やつむじを演出できるので、ご希望に合わせて治療前の自分と同じようなヘアスタイルにしたり、思い切ったイメージチェンジもできます。既成品にはできないスタイリング、フルオーダータイプと比べ手頃な価格、豊富な種類のなかから選べるので、急いでいるときなどは短納期で自分に合ったウィッグを手にすることができることも、セミオーダータイプが多く選ばれている理由です」
前もって予約をすれば、その日のうちに希望スタイルを作って完成させることも可能! とのこと。何とも頼もしいですね。
既製品は手軽で安価ですが、希望のウィッグスタイルや髪色が見つからないこともあるそうです。ウィッグ特有の違和感が出るのは絶対NG……、という方には、やっぱり自然に見えるセミオーダーがおすすめです(表2)。
それと、何よりも忘れていけないのがウィッグの試着。
「『あれがイイ!』と見た目で選んだウィッグを、結果としてご購入された方はあまりいらっしゃいません。見た目だけで選んだウィッグは、実際に着けた印象と大きく違います。遠慮せずに、ぜひ気に入ったものが見つかるまで試着してみてください」
もし、自分に似合っているかどうかを相談しながら決めたいなら、家族や友人と一緒にウィッグサロンに足を運ぶのも良いと思います。その方が、後悔することもないですね。
きめ細やかなサポートで治療中も安心
医療向けのウィッグは、一般的なウィッグと使用する状況が異なるので、「買ったらそれで終わり」というわけにはいきませんよね。頭髪の状況をみながら、脱毛からウィッグ、ウィッグから自髪へと違和感のない形で移行したいものです。でも、そういうのって患者さんの知識だけでは大変そうです。そのため、スヴェンソンでは店舗でウィッグを購入された方に、患者さんの治療スケジュールに合わせたサポートを提供しているそうです。
まず、抗がん剤治療を始めたら、脱毛した髪がからまないように自髪のカットがおすすめです。併設の個室美容室でお手入れができるので、人目も気にならないのが良いですよね。また、脱毛が始まると頭皮が敏感になるため、シャンプーや頭皮ケアのアドバイスも受けられるそうです。
さらに、大事なウィッグのサイズ調整もあります。
「抗がん剤治療が始まり脱毛すると頭全体の大きさが変わったり、また、発毛後には自髪のボリュームが増量するといった変化があるため、状況に合わせたウィッグのサイズ調整が必要になります。ウィッグは頭にフィットしていないとズレる不安や違和感が出てしまいます。そうなると常に気になってしまい、快適な毎日を過ごせません。ウィッグのサイズ調整は、治療中にウィッグを使用される方にはとくに重要なサービスのひとつです。この調整は、ウィッグが必要なくなるまでに何度か行いますが、店舗内の工房で丁寧に手で縫うことで、患者様1人ひとりにピッタリと合ったウィッグへとなります」
頭の大きさは人によって異なり、くぼみがあるなど形も十人十色です。そのため、スヴェンソンではウィッグのサイズを単にS・M・Lの大きさで捉えるだけでなく、細やかなサイズ調整で患者さんの頭にピッタリとフィットしたウィッグを提供しているそうです。
ウィッグには、髪質の維持やスタイル調整などのメンテナンスも必要です。というのも、治療が終わっても、髪はすぐに元の毛質や毛量には戻りません。
「ウィッグのスタイリングはもちろん、発毛のバラつきをなくすために自髪をカットして整えることで、自然な流れで元のヘアスタイルに戻す必要もあります。サイズ調整と同様、メンテナンスも『その場で』対応することがスヴェンソンの特徴です。また、発毛時の頭皮ケアや育毛のホームケアのアドバイスもさせていただきます」
脱毛中の「困った……」を解決してくれる医療向けのサービスが充実のスヴェンソン! こんなに心強いアフターフォローがあれば、いざというときも安心ですね。
また、サロンでは知っているようで意外と知られていない「治療中のシャンプー剤の選び方・使い方」や「頭皮ケアやマッサージの仕方」、「帽子や毛付き帽子」「ウィッグケア用品」といったアイテムの紹介など、治療中・治療後の情報も、専門的な知識を持ったスタッフがアドバイスをしてくれるので、気軽に相談してみるのも良いですね。
後悔しないウィッグの選び方
一般的に、ウィッグの使用期間は「抗がん剤治療期間+理想の髪の長さに伸びるまでの期間=約1年半~2年」といわれています。想像以上に長いってことを考慮すると、ますます自分に合ったウィッグを選ぶことがポイントのようですね。
最後に中村さんは、自分に合ったウィッグを選ぶためのアドバイスとして、こうおっしゃいます。
「私たちは患者様に、『価格』『機能性』『スタイル』『自然さ』などウィッグに対してなにを最優先にしてご購入されるのか、ということを必ずお聴きしています。そこが決まらないと、どんなウィッグを買っても後悔されて、ウィッグを買い替えるケースも多く見られます。ウィッグは患者様のQOL(生活の質)に大きく関わるものです。例えば、当社のウィッグを着用された患者様が、『担当医もウィッグだと気がつかなかった』と笑顔で話してくださったことがありますが、ウィッグは治療前と変わりなく安心して毎日を過ごすためのアイテムのひとつであり、患者様の気持ちが前向きになれる大切なものだと考えています」
なるほど、ウィッグ選びは自分にとっての最優先事項を決めて自分に合ったものを選ぶこと、それを使うことは患者さんの快適な生活へとつながる大切なこと、ということなんですね。
今回の取材で、医療向けに選ぶウィッグこそ自分に合ったものを選ぶこと、アフターフォローがいかに大切かってことがよ~くわかりました。後悔しないウィッグを選ぶために、ぜひとも皆さんのウィッグ選びの参考にしてみてはいかがでしょうか。
▼医療向けウィッグについての詳しい資料をお届けします。