悪性胸膜中皮腫。再発予防にはどのような治療法があるか

回答者:坪井 正博
神奈川県立がんセンター 呼吸器外科
発行:2010年5月
更新:2013年12月

  

半年前、左胸に異変が見つかりました。生検をした結果、悪性胸膜中皮腫とわかりました。リンパ節転移や、離れた臓器への転移はなく、2期と言われました。手術で、腫瘍のある左胸を切除しました。かなり、大きな手術でした。再発予防には、どのような治療法があるのでしょうか。

(和歌山県 男性 65歳)

A 手術で切った周辺に限定して、放射線を照射するのも1つの方法

肺と胸壁は、胸膜と呼ばれる薄い膜に包まれています。この薄い膜には、中皮細胞が並んでいてその細胞から発生する腫瘍が胸膜中皮腫です。一般的に、悪性胸膜中皮腫には片側の肺のすべて、胸壁の胸膜、横隔膜などをまとめて取り除く胸膜肺全摘術と呼ばれる手術を行います。肺がん・中皮腫の中では、もっとも大きな手術です。

再発は、切った場所の近くに局所再発として起きやすいのが特徴です。他の臓器への遠隔転移は、あまり多くはありません。再発予防について、いくつかの臨床試験が行われていますが現時点でこれがよいという治療法はありません。

大きな手術のあとで残った胸腔全体に放射線を照射する方法の効果は十分に検証されていませんし、体への負担が大きくなるため一般にお薦めできる治療ではありません。局所再発は手術で皮膚を切ったところ、あるいはドレーン(管)を1~2日間入れた場所に多いです。そこで、手術で切ったところの周辺に限定して放射線を照射するのも1つの方法です。定位放射線治療のほかに、IMRT(強度変調放射線治療)も選択肢になるかもしれません。放射線治療を受けるタイミングは、術後2カ月以内のほうがよいと思います。

悪性胸膜中皮腫は上皮型、肉腫型、2相型の3タイプがあります。

3つのタイプによって、放射線治療と化学療法の治療効果は異なります。上皮型には、放射線治療と化学療法が比較的よく効くとされています。肉腫型と2相型には、放射線治療と化学療法がともに効きにくい傾向があります。

相談者がどのタイプかによって、治療内容が変わってきます。

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