2006年12月
テモダール(一般名テモゾロミド)はアルキル化剤に分類される抗がん剤で、脳腫瘍の中の神経膠腫(グリオーマ)の治療薬として1999年にアメリカ、ヨーロッパで発売されました。日本では今年の7月に厚生労働省から承認され、神経膠腫においては19年ぶりに登場した新薬として熱い期待が寄せられています。アルキル化剤はがん細胞のDNAなどの核酸の一部にアルキル基という原子集団を結合させることによって、DNAの合成を...
2006年11月
幅広いがんに適用がありますが、現在は主に急性白血病や悪性リンパ腫に対する治療薬として使用されています。 通常の用法のほかに、大幅に投与量を増やした大量療法も行われています。非常に強力な治療となり、副作用の問題はありますが、急性白血病での寛解導入療法、地固め療法、悪性リンパ腫での救援療法などで有効な薬剤です。 急性白血病の治療薬として登場 シタラビン(商品名はキロサイドまたはサイトサール)は、「代...
2006年10月
アントラサイクリン系の抗がん性抗生物質であるファルモルビシンは、現在のがん治療において、とくに乳がんの化学療法で、その効果を発揮しています。 アドリアシンに似た作用を持ち、その他のがんに対しても広く使われていますが、アントラサイクリン系の薬剤の特徴として心毒性の強さが問題で、投与にあたりいくつかの制約があります。 抗腫瘍効果のある抗生物質 ファルモルビシンは、1975年にイタリアで開発された、ア...
2006年9月
日本では、1980年代に登場した薬です。ベプシド(ブリストルマイヤーズ)、ラステット(日本化薬)と、国内では2種類の販売名で承認されています。 経口剤は、発売当初、軟カプセル剤でしたが、1994 年に、より服用しやすく安定な製剤とした小型化硬カプセル剤に切り替わっています。 従来の適応に加え、昨年、小児の固形がんにも追加承認がされています。 植物の毒性成分を利用した抗がん剤 エトポシド(商品名は...
2006年8月
「葉酸代謝拮抗剤」に分類されるメソトレキセートは、約60年前に開発された大変に古い抗がん剤です。 現在は、白血病と絨毛性疾患に加えて、他剤との併用で、乳がん、胃がん、膀胱がん、肉腫、悪性リンパ腫の治療に用いられている他、がん以外ではリウマチの治療薬としても効果をあげています。 副作用の軽減のためにロイコボリンという薬と併用することが多いのが特徴です。 白血病の治療薬として登場した葉酸代謝拮抗剤 ...
2006年7月
国立がん研究センター東病院内科医師の土井俊彦さん 従来の抗がん剤に代わって、新しく出現した分子標的治療薬。既に乳がんや肺がんなどで効果を上げているが、今最も注目されているのが消化器がんの分野。大腸がんを皮切りに、消化器の領域に、アバスチン、アービタックス、ハーセプチンなどの分子標的治療薬が続々と登場してきている。この現状を整理してご報告しよう。 分子標的治療薬と呼ばれる新しい薬剤が注目を集めて...
2006年7月
シスプラチンの副作用を抑えることを目的に、日本で開発された新しい白金製剤です。 多くの臨床試験が行われている段階ですが、中にはシスプラチンよりも優れた成績を示すデータも出ています。 現在は、他の抗がん剤が効かなかった場合など、第2、第3の選択肢として用いられることが多い薬剤です。 ブリプラチン(またはランダ、一般名シスプラチン)という、有名な抗がん剤があります。これは、白金(プラチナ)製剤と呼...
2006年6月
抗がん剤開発の創成期に登場したエンドキサンは、現在使われている抗がん剤の中でも、とくに長い歴史を持った薬剤です。 日本では1962年に製品化されました。 適応範囲は広く、主に乳がんや悪性リンパ腫の標準治療薬のひとつとして使用されています。 毒ガスからつくられた「アルキル化剤」 [エンドキサンの適応と臨床成績(単独投与の場合)] 疾患名 有効例数/評価対象例数 有効率(%) 多発性骨髄...
2006年5月
日本国内でも古くから使われている薬剤で、現在も消化器がんを中心とした化学療法の中で、最も重要な抗がん剤の1つになっています。 代表的な代謝拮抗剤であり、この薬を元に開発された抗がん剤が、様々ながんに対して大きな役割を担っており、今後も期待が寄せられています。 広い用途を持ったピリミジン系代謝拮抗剤5-FU(一般名フルオロウラシル)は、1956年にスイスのロシュ社によって開発された、長い歴史を持つ抗...
2006年4月
国内で適応となるのは、睾丸腫瘍、膀胱がん、腎盂・尿管腫瘍、前立腺がん、卵巣がん、頭頸部がん、非小細胞肺がん、食道がん、子宮頸がん、神経芽細胞腫、胃がん、小細胞肺がん、骨肉腫、胚細胞腫瘍、悪性リンパ腫など、非常に広い範囲に及びます。 優れた腫瘍縮小効果を持ち、それぞれの治療において中心的に使われることが多い薬ですが、副作用が強いことでも知られています。 シスプラチンは、1965年に、アメリカのロー...