服薬規定などは厳しい 医師やCRCとの連係が大切
2016年6月
がん研有明病院の宋 菜緒子さん先月号では臨床試験や治験とは何かという基本を振り返った後に、どのような人が選ばれるのかということを見てきた。今号では、臨床試験が終わるまでを解説する。 適格基準は満たしているか 今回も企業が新薬の承認を目指すための「治験」を例に述べるが、医師主導の臨床試験でも基本は同じだ。前回のおさらいになるが、患者が治験に参加する経路は大きく2つある。1つは、担当医が治験を行ってい...
2016年6月
がん研有明病院の宋 菜緒子さん先月号では臨床試験や治験とは何かという基本を振り返った後に、どのような人が選ばれるのかということを見てきた。今号では、臨床試験が終わるまでを解説する。 適格基準は満たしているか 今回も企業が新薬の承認を目指すための「治験」を例に述べるが、医師主導の臨床試験でも基本は同じだ。前回のおさらいになるが、患者が治験に参加する経路は大きく2つある。1つは、担当医が治験を行ってい...
2016年5月
GIST(消化管間質腫瘍)の治療は、手術による切除が第1選択です。発見されにくい腫瘍であるため、切除できない状態で治療を開始する場合も少なくありませんが、2003年に承認された治療薬グリベックは奏効率が8割近く、万一耐性ができても、第2、第3の選択薬が2剤あり、GIST患者の生存期間を延ばしています。 GIST(消化管間質腫瘍)の治療 GISTは、消化管にできる悪性腫瘍です。ただし、胃がんや大腸が...
2016年5月
がん研有明病院の宋 菜緒子さん臨床試験や治験というと、言葉は知ってもいても、どのように行われているのかよく知らない、自分とは縁遠いものだ、と思っている患者や家族も多い。近年は免疫チェックポイント阻害薬に代表される新薬の研究が相次いでおり、医療機関に持ち込まれる治験の数も増えている。2回にわたり、臨床試験、とくに新薬を対象とした治験について分かりやすく解説する。 新薬ができるまで 新薬が市場に出回る...
2016年4月
高齢者に多く、進行が緩やかで、早期発見されることも多い慢性リンパ性白血病(CLL)。早期は経過観察が標準治療ですが、病気が「活動性徴候」を示したら治療を開始します。このとき、「通常量多剤併用療法可能」と判断された場合は、FCR療法が標準治療になっています。また、再発・難治例に対しては、2013年にアーゼラが、2014年にはマブキャンパスが、保険で使えるようになりました。 慢性リンパ性白血病(CLL...
2016年3月
「効果がなくなれば再生検し、早期に適切な薬へ切り替えていただきたい」と話す木浦勝行さん EGFR(上皮成長因子受容体)遺伝子変異陽性の非小細胞肺がんの治療を大きく進展させた「EGFRチロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)」。しかし、使い続けると1年ほどで耐性が生じるのが課題となっていた。最近の治療戦略について、耐性に効果を発揮する新しいタイプのEGFR-TKIの登場を含めて紹介する。 EGFR...
2016年3月
悪性軟部腫瘍(軟部肉腫)は、悪性腫瘍全体の1%、国内での患者数は5,000~6,000人ほどの希少がんです。これまで、アドリアシンとイホマイドが治療の中心でしたが、ここ数年で新薬が保険で認められるようになりました。悪性軟部腫瘍の治療における、新薬の位置づけ、従来の薬剤との違いについて、さらに、全身の様々な部位に生じるという、肉腫に特徴的な病態の中で、新薬を安全に効果的に使用するためのポイントを紹介...
2016年3月
「オプジーボは慎重に使う一方、効果予測因子の解明なども必要です」と語る神田慎太郎さん 新しいタイプのがん治療薬である、免疫チェックポイント阻害薬のオプジーボに対し、2015年12月、肺がんへの適応拡大が承認された。待ち望まれた薬剤だけに期待が高まるが、具体的にはどんな症例に使われ、どんな効果が見込めるのだろうか。また、副作用はどの程度あるのだろうか。その使われ方と今後の見通しについて話を伺った。 ...
2016年2月
「薬価の高い分子標的薬を使用しないで済むという以外に、一番の目的は患者さんに喜んでいただけることです」と語る高橋直人さん 慢性骨髄性白血病(CML)は、かつては数年で急性に転化してしまい、予後が良くないという厳しい病気だった。しかし、21世紀になって分子標的薬グリベックが救世主のごとく現れ、生存率をぐんと上げた。一方で、グリベックには服用し続けなければいけないという難点もある。そこに切り込んだのが...
2016年2月
神経膠腫の中でも悪性度の高いグレード3と4を、悪性神経膠腫と呼びます。中でも治療が難しいのは、グレード4の膠芽腫です。悪性神経膠腫の初発治療は、手術に、放射線治療とテモダールによる治療を組み合わせます。グレード4に対しては、日本ではアバスチンを併用することもできます。アバスチンを加えることで、再発までの期間が長くなります。 悪性神経膠腫の治療 悪性神経膠腫は悪性脳腫瘍の代表的な病気で、脳に発生する...
2016年1月
現在、日本膵臓学会の「科学的根拠に基づく膵癌診療ガイドライン」では、遠隔転移のある膵がんに対する最初の化学療法として、FOLFIRINOX療法とアブラキサン+ジェムザール併用療法の2つを推奨しています。ただ、どちらを選択すべきかについては明らかにされていません。手術ができない膵がんの治療をどのように考えるか、2つの治療法の特徴から考えてみましょう。 切除不能膵がんの治療 膵がんの治療は、手術による...