2015年12月
「ホルモン受容体陽性(ER+)乳がん」とは、女性ホルモンのエストロゲンの刺激によって増殖する乳がんのことです。「ホルモン感受性乳がん」や「ホルモン依存性乳がん」などとも呼ばれます。閉経前のホルモン受容体陽性乳がんは、ノルバデックスの5年間投与が標準治療ですが、リスクによって抗がん薬やLH-RHアゴニスト(作動薬)の併用も可能とされています。併用するべき条件とは何か、そして新たな治療の選択肢について...
2015年11月
悪性リンパ腫にはいろいろな種類がありますが、日本人に多い「びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)」に対しては、リツキサンの登場で治療成績が大幅に向上したR-CHOP療法が標準治療となっています。同じB細胞性のリンパ腫である「マントル細胞リンパ腫(MCL)」には、VR-CAP療法という新たな治療法が登場してきました。自家移植の対象とならないマントル細胞リンパ腫に、優れた治療効果を発揮します。...
2015年10月
「患者さんには日ごろのスキンケアをしっかり行ってほしいです」と語る植竹宏之さん 相次いで登場している分子標的薬。大きなメリットとして治療効果とともに正常細胞への作用が少ないことによる副作用の軽減があげられるが、分子標的薬ならではの副作用も問題になっている。それは皮疹や手足症候群などの皮膚障害で、中には治療を中断せざるを得ないものまである。その対策は? 皮膚障害が出るほど効果ありとのデータも 皮膚障...
2015年10月
子宮頸がんの治療は手術が主体だと思われがちですが、実は子宮頸がんのうち手術のみで治療の完結が見込めるのは、がんが子宮頸部の表面だけに存在しわずかに浸潤を認めるⅠ(I)A期の場合のみです。それ以外では、摘出臓器の病理組織診断の結果、再発リスクが大きいと判断されると、放射線療法、もしくは放射線療法と抗がん薬の併用治療が行われます。子宮頸がんを病期別にみると、手術だけの治療よりも、同時化学放射線療法を行...
2015年10月
「将来的にがん免疫療法に適した人、そうでない人の予測ができる時代が来ることが期待されます」と語る北野滋久さん がんの免疫療法というと、「エビデンス(科学的根拠)のない民間療法」と引き気味になってしまう患者さんや医療関係者もいるのではないだろうか。しかし近年、新しい作用機序をもつ免疫療法薬と従来の化学療法薬との比較試験で、免疫療法薬の優位性が証明され、保険適用されるなど様相が変わってきた。最新のがん...
2015年9月
やまだ みつぎ 千葉県がんセンター看護局通院化学療法室看護師長。2006年日本看護協会がん化学療法看護認定看護師認定。11年聖隷クリストファー大学大学院博士前期課程修了(看護学修士)。同年、がん看護専門看護師認定。13年より現職。日本がん看護学会、日本臨床腫瘍学会、日本看護研究学会所属 吐き気や感染症に比べたら、皮膚の症状なんてまだマシ……仕方がない。そう言い聞かせて、つらい症状を我慢してはいませ...
2015年9月
切除不能な再発・進行胃がんの治療は、「化学療法が第一に考慮されるべき治療法である」と、胃癌治療ガイドラインでは記されています。がんを縮小して、がんの進行に伴う様々な症状を抑え、より良い時間をより長く過ごすことが、再発・進行胃がんの治療の目標ですが、最近の治療薬の開発進歩によって、がんを小さくする効果が、より高くなってきました。今年(2015年)6月には、従来の標準治療に加えて、新しい分子標的薬も登...
2015年9月
「免疫チェックポイント阻害薬は治療法を大きく変える可能性がありますが、経済面などいくつかの課題も残されています」と話す西尾誠人さん 現在肺がんの治療薬の開発で、最も過熱しているのが免疫チェックポイント阻害薬。今年(2015年)のASCO(米国臨床腫瘍学会)年次学術集会では抗PD-1抗体オプジーボに対する注目の臨床試験の結果が発表された。日本でも免疫チェックポイント阻害薬の様々な臨床試験が行われ、今...
2015年8月
※ただし、化学療法未治療例への安全性有効性は未確立 前立腺がんの治療では、ホルモン療法が行われることがあります。それが効かなくなったのが、「去勢抵抗性前立腺がん」です。かつて、治療薬はタキソテールだけでしたが、2014年に、イクスタンジ、ザイティガ、ジェブタナが承認され、これらも治療に使用できるようになりました。選択肢が増えたことで、治療の可能性が広がったと言えます。ただし、これらの薬をどの順番で...
2015年8月
「新しい治療の情報を得て、適切な治療を受けて欲しい」と話す吉野公二さん 皮膚がんには、基底細胞がん、メラノーマ(悪性黒色腫)など数種があるが、それぞれ病気の性格が大きく異なり、治療法も違う。患者数は少なく、これまで新しい治療法の開発が進みにくい状況にあったが、メラノーマについては、昨年(2014年)から新薬が次々に発売され、血管肉腫では、治療法が変わり生存期間を大きく伸長している。激変する皮膚がん...