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2020_oct_i

監修●佐治重衡 福島県立医科大学腫瘍内科学講座教授

近年、がん治療は医療者任せにせず、患者も病気や治療の知識を求めて、医療者と充分なコミュニケーションをとって臨むものとなってきている。そして、医療者が使うものであった『診療ガイドライン』も、各がん種で患者用のものが増えている。なかでも、その先駆けとなったのは乳がんのガイドラインだ。

新たに改訂された『患者さんのための乳がん診療ガイドライン』2019年度版の委員長を務めた、福島県立医科大学腫瘍内科学講座教授の佐治重衡さんに、改定されたポイントや使い方などについて伺った。

監修●原 文堅 がん研有明病院乳腺内科医長

ハーセプチンの登場で、HER2陽性乳がんの薬物療法が大きく前進したが、その後も次々と抗HER2薬は開発されている。最近ではエンハーツが承認されたばかりだ。

今回、HER2陽性切除不能・再発転移乳がんにとって注目したいのが、脳転移の患者にも効果が高い可能性のあるツカチニブという経口薬が、米国食品医薬品局(FDA)により承認されたというニュースだ。ツカチニブの効果について、がん研有明病院乳腺内科医長の原文堅さんに伺った。

監修●新部 譲 Oligometastases研究所代表/久留米大学医学部公衆衛生学講座客員教授

がんの遠隔転移があるとステージ4と診断され、全身治療が行われることになる。しかし、少数の転移であるオリゴメタスタシスなら、体幹部定位放射線療法のような局所治療を加えることで、長期生存が可能になり、場合によっては治癒も期待できることがわかってきた。

とくに原発巣が制御されているオリゴ-リカランスは、原発巣が制御されていないシンク-オリゴメタスタシスより治療成績がよい。転移・再発乳がんの治療でも、オリゴ-リカランスなら体幹部定位放射線療法が保険適用となる。治癒の可能性もある新しい治療法として期待されている。

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