患者の視点を持った医師が語る「これだけは言いたい」

取材・文:半沢裕子
発行:2005年1月
更新:2019年7月

  

もし先生が私だったらこの治療法を選びますか

 

多くのがん患者が、初めてがんと知ったときから折りにふれ、担当医師に聞きたいと感じる質問がある。もし先生が私だったら、この治療法を選びますか? 治療のこの結果に満足しますか? 再発にどう備えますか? 先生だったら私のようにオロオロせず、力強くがんに立ち向かえますか? 立ち向かえるとしたら、なぜできるのか教えてください……。

それは、最良の治療計画を選びたいからであり、心の置きどころを探るためといえる。「私」とは比べものにならないほど病気の知識をもち、数多くのがん患者に接してきた専門家が「私」と同じ病を得たとき、具体的に何を選び、明日を不確実にしてしまうこの病気と折りあい、終末に向き合うのか。患者はそのぎりぎりのホンネが聞きたいのだ。

実際には、医師が患者と同じ状態ということはありえない。が、少しでも似た状態に医師が置かれるとき、それは医者自身ががん患者の立場に立ったときだ。そこで、3人の医師にご登場いただき、自身のがん体験を語っていただいた。

医師だって、病を得れば1患者。プライベートに深くかかわる話を公開することには、大きなためらいもつきまとう。それでも、あえて語ってくれた体験には、患者としての視点と医師としての視点が複合的に入り交じっていた。そして、そうした視点のもとにくり広げられた闘いの記録は、やはり、患者にとって貴重な道しるべになるのではないかと思われた。

冒頭に書いた「もし先生が私だったら」という問いを、実際に医師に問いかけたら、多くの医師は「がんは百人百様。2人と同じがんの人はいませんからね」というように答えるのではないだろうか。実際、今回話をしてくれた3人の医師もまさに三人三様、症状も違えば、選んだ治療もその理由もそれぞれだった。

が、医師ががんにかかったとき、その医師は患者と医師の複合的な視点を得て、患者だけの立場の人には見えないものを見る。それはたぶん、どんな医師にも共通している。そこで感じたこと、考えたことをたくさんお話しいただいた。多くの患者さんの参考になればと、取材に応じてくれた3人の医師たちも語っている。

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