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抗がん薬の基礎知識:抗がん薬はどのようにがんを叩くのか!? 丸ごとわかる「抗がん薬基礎講座」

監修●矢形 寛 聖路加国際病院乳腺外科副医長
取材・文●常蔭純一
発行:2013年1月
更新:2019年12月

  

「抗がん薬に多くの種類があるのは、がん細胞がさらに多様だからです」と話す矢形 寛さん

抗がん薬治療を受ける患者さんには、化学療法への理解を深め、納得できる治療を、安心して受けていただきたい。ここでは、抗がん薬の基礎知識について、初めて抗がん薬について知る患者さんにも、わかりやすく解説する。

Q1 抗がん薬ってどんな薬なの?

抗がん薬は広く細胞に障害を与えるもので、自然界から抽出したり、さまざまな物質から合成されて作られます。そして正常細胞よりもがん細胞により影響を与えます。

抗がん薬は、何段階もの試験により、がんに対する効果や安全性を確認したうえで薬剤として認められています。

抗がん効果を持つ物質は無数にあります。そのなかで厳しいハードルをクリアした、ごくひと握りの物質だけが、抗がん薬として治療に用いられているのです。

Q2 「抗がん薬治療」「化学療法」「薬物療法」、何が違うの?

抗がん薬を用いたがん治療は、化学療法とも呼ばれます。微妙なニュアンスの違いはあるかもしれませんが、抗がん薬治療=化学療法と考えればいいでしょう。一方、薬物療法には抗がん薬だけでなく、たとえばホルモン薬や抗がん薬治療をスムーズに行うための制吐剤など薬剤による支持療法も含まれます。薬物療法という言葉の意味はずっと広く、薬物を用いる治療全般を指しています。

Q3 抗がん薬による治療はどんな特徴があるの?

抗がん薬治療は一般的に、全身を対象にした治療法です。がん細胞が患部から別の部位に転移しているような場合や、転移がはっきりしなくても、微小ながんが他の部位に広がっていると考えられる場合に、全身を対象にした抗がん薬治療が行われます。もっとも最近では、手術前に局所のがんを縮小させる目的で用いられることもあるし、また、カテーテルと呼ばれる管を用いて局所のがん治療に用いられるケースもあります。

現実のがん医療では、副作用を最小限にし、治療効果を最大限にあげるために、異なる治療を組み合わせながら、治療計画が組み立てられています。最近では手術の前後に抗がん薬治療を行うケースが一般的です。

Q4 抗がん薬が「効く」とはどういうこと?

現在では延命効果が抗がん薬の効果をはかる上での最大の評価ポイントになっています。

短期的にがんが小さくなっても、結果的にその人の寿命が延ばせなければ、その治療にあまり意味があるとはいえません。それよりもがんの縮小の度合いは小さくても、症状を悪化させずに寿命を延ばすことのほうが患者さんには重要でしょう。

もっとも、これからはさらに多面的に抗がん薬が評価されていくと考えられます。というのは、抗がん薬治療で寿命が延びても、それが心身両面で厳しい負担を強いられる場合には、患者さんには好ましい治療とはいえません。実際、患者さんのなかにはつらい状態で長生きするよりも、短い期間でも快適な状態で余命をまっとうしたいと考える人もいます。そうしたことを考えると、これからはQOL(生活の質)の維持・向上ということも、抗がん薬の効果をはかるうえでの重要なポイントとして浮上してくると考えられます。

Q5 「寛解率」「無増悪生存期間」「無再発生存期間」「無病生存期間」「全生存期間」はどういう意味なの?

抗がん薬治療を含めたがん治療の効果をはかる上での指標です。寛解という言葉は、CTやMRIなどの画像検査上でがんが見つからない状態を指しており、寛解率はある治療で患者さんがその状態に達する比率を意味しています。寛解率は、完全寛解と部分寛解に分けられます。ちなみに、寛解率と奏効率は同様の意味です。あとの4つの言葉は、それぞれがんが悪化せずに患者さんが生存している期間、がんが再発せずに生存している期間、何の病気もなく生存している期間、さらにがんや病気の状態に関係なく、生存している期間という意味で、いずれも長ければ長いほど、その治療の効果は大きいと考えられます。もちろん、抗がん薬治療の場合もその例外ではありません。

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