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知っておきたいお金の悩み解決法 (3)
退職後も傷病手当金が継続される方法と健康保険の選び方
在職中に病気で欠勤が続いたり休職する人は、その間の賃金保証として健康保険から「傷病手当金」を受けることが多いかと思います。
病気が治って復職できたらいいですが、そうではなく、残念ながら会社を辞めざるを得ないケースもあります。
今回は、治療を継続しながら会社を辞める場合の注意点を取り上げます。
任意継続被保険者を選ぶと傷病手当金が減る場合も
まず前回に引き続き、傷病手当金の話から始めましょう。傷病手当金とは、健康保険の被保険者が病気やけがの療養のために4日以上欠勤し、報酬の支払いがないときに受けることができる健康保険給付の一つです。給付額は、通常の賃金(正確には標準報酬日額)の6割です。健康保険組合や公務員の共済組合などに加入している場合は、さらに上乗せの給付があることもあります。傷病手当金は、受給を始めてから最長で1年6カ月間もらうことができます。では、傷病手当金をもらっている最中に退職となる場合は、どうなるのでしょうか。
結論から言いますと、その後も労務不能の状態が続くのならば、受給開始から1年6カ月になるまでは傷病手当金をもらうことが可能です。ただし、(1)「退職日まで継続して1年以上の被保険者期間があること」と、(2)「退職日までに、傷病手当金を受給できる条件をクリアしていること」が必要です。
条件-1 退職日まで継続して1年以上の被保険者期間があること
退職日まで1日もあかさずに、1年以上健康保険に加入していることをいいます。たとえば、4月1日に健康保険の被保険者となり、翌年の2月1日から傷病手当金をもらい始めている人が退職するときは、その退職日が3月30日の場合、傷病手当金は3月30日の分までで打ち切りとなります。これが、3月31日退職となると退職日以前1年間の被保険者期間があることになり、退職後も続けて傷病手当金を受給することができるのです。このケースでは2月1日から傷病手当金を受けているので、その後も労務不能の状態が続く場合は、翌年8月31日まで傷病手当金をもらうことができます(図1参照)。
また、「継続して1年以上」とあるのは、1日も間があいてはいけないということです。仮に1年以内に転職による入退社があったとしても、9月20日退職、翌日の9月21日に就職して社会保険加入の場合は、1日の空白もなく継続しているとみなされます。しかし、9月20日に退職後、21日が日曜日で22日から新しい会社に出社し、22日付けで社会保険に入るケースや、9月21日就職でも試用期間があり、その間は社会保険に入れてもらえないというケースもあります。試用期間中の労働者を社会保険に入れないというのは、明らかに法律違反なのですが、残念ながら珍しいことではないのです。
条件-2 退職日までに傷病手当金を受給できる条件をクリアしていること
傷病手当金を受給するために必要なのは、労務不能で欠勤が4日以上続いていることです。最初の3日間を待期期間といい、連続していなければなりません。さらに3日間の待期が完成したうえで、少なくとも1日は傷病手当金を実際にもらっているか、もらうことのできる状態にある必要があります。たとえば、11月27日、28日、29日と病気のため欠勤し、30日に退職するとします。30日を欠勤した場合は退職後の傷病手当金がもらえますが、30日に無理をして出勤したときは、待期が完成しただけでの退職となってしまい、退職後の傷病手当金がもらえないことになるのです(図2参照)。
また、退職日まで4日以上ずっと有給休暇扱いで休んでしまった場合でも、賃金が出ていただけで、傷病手当金を受け得る状態にはあったとみなされるため、退職後の傷病手当金を受けることができます。ただし、在職中の期間について、もらえないとわかっていても傷病手当金の請求手続きをする必要があります(報酬の支払いがあるため不支給、という通知が届きます)。
この傷病手当金のように、資格喪失後に受けられる健康保険給付には、他にも次のようなものがありますが、どれも退職日までに1年以上の被保険者期間があることが条件です。
・出産手当金(資格喪失後6カ月以内に出産した場合):平成19年4月から廃止予定
・埋葬料(資格喪失後3カ月以内に死亡した場合)
退職日までの被保険者期間が1年以上ない場合
退職日までの被保険者期間が1年に満たなくても、2カ月以上あれば、傷病手当金をもらえる方法があります。退職後に任意継続被保険者となるのです。任意継続被保険者とは、会社を退職後、健康保険の被保険者資格を失った人が継続して健康保険の被保険者となることができる制度です。保険給付は在職中の健康保険と同じ、保険料は、今まで事業主が半分負担してくれていたものも合わせて、全額自己負担です。