知っておきたいお金の悩み解決法 (4)
障害年金を受け取るために必要な条件

文:山田由里子 社会保険労務士
発行:2005年2月
更新:2013年8月

  

平成16年は国会で年金改正法が成立したこともあり、公的年金について世間の関心もかなり高まりました。年金というと真っ先に老齢年金があげられますが、公的年金がカバーする社会的リスクには「老齢」以外にも「死亡」と「障害」があります。今回はこれらの年金給付の中でも最もわかりにくいとされている「障害年金」について取り上げます。

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障害年金は、事故や病気などで重い障害を負ってしまった人への生活保障として支給される年金です。障害年金がなぜわかりにくいかを一言でいうと、どうしたらもらえるのかがわからないからです。公的年金は申請主義ですから、いくら条件がそろっていても申請しなければ何ももらえません。実際、障害年金についてもらいそこねている人が何万人もいると言われています。

障害年金の給付は、国民年金から「障害基礎年金」、厚生年金から「障害厚生年金」、共済組合から「障害共済年金」が支給されます。

どの制度からの給付が受けられるのかは、その障害を負うもととなった傷病の初診日がいつだったかで決まります。

国民年金からの給付である障害基礎年金は次の条件を満たした場合に支給されます。
(1)障害のもとになった病気やけがの初診日が65歳前である。
(2)初診日から1年6カ月経過した日(障害認定日)に障害等級1級、2級に該当している。
(3)保険料をきちんと納めている。
(図1参照)

[図1 障害年金をもらうための条件]
図1 障害年金をもらうための条件

条件-1 障害のもとになった疾病の初診日が65歳前であること

(1)の条件については、正確には、「初診日が公的年金加入中にあるか、以前の公的年金加入者で日本在住の60歳以上65歳未満のあいだに初診日があるか」となっています。しかし、現在の日本の年金制度では、海外在住者など一部の方を除いてすべての国民が何らかの公的年金に加入することとなっていますので、大枠では、初診日が65歳未満であるすべての人が対象になると考えてよいでしょう。

このうち、その初診日がサラリーマンや公務員などの在職中にある場合は、障害基礎年金だけでなく、障害厚生年金や障害共済年金も対象となります。ただし、65歳以上の厚生年金の被保険者で老齢厚生年金等の受給権を有している場合は、65歳以後に初診日がある病気やけがで、1級、2級の障害の状態になったときは、障害基礎年金が支給されず、1級、2級の障害厚生年金のみが支給されます。平成17年4月からは、3級と同額(59万4200円)の最低保障が行われています。障害基礎年金だけしかもらえないか、障害厚生年金や障害共済年金ももらえるかの違いには大きいものがあります。給付額ももちろん増えますが、それだけではなく、障害基礎年金では障害等級1級または2級しかないところ、それよりも障害状態の軽い障害等級3級の年金や一時金といった給付もあるからです。

たとえば、独立を考えていたサラリーマンが、会社勤務のときから体調不良を自覚していたにもかかわらず医者にかからずに退職し、その後それがもとで重い障害を負うことになっても、初診日が在職中にないので障害基礎年金しかもらえないわけです。これと同じような基準が遺族年金にもあります。サラリーマンを辞める前には、出来るだけ細かく健康診断をしておき、異常値があれば必ず医者に診てもらっておくようにしましょう。

また、20歳前の公的年金加入前に初診日がある場合は、所得制限がありますが、障害等級に該当していれば、20歳から障害基礎年金を受給することができます。

平成18年4月からは、65歳以降の1級、2級の障害基礎年金と老齢厚生(退職共済)年金や遺族厚生(共済)年金についても申請により併給可能になりました。


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