セミノーマⅠ(I)期で摘除術後放射線治療は必要か

回答者・古賀文隆
都立駒込病院腎泌尿器外科部長
発行:2015年10月
更新:2016年1月

  

右精巣の高位精巣摘除術を受けました。その後の検査で転移は確認されず、セミノーマⅠ(I)期とのことでした。医師から「将来転移が生じる可能性が10~20%あり、術後に放射線治療を行うと、そのリスクを下げることができる」と言われました。しかし、放射線治療を受けると2次発がんや、晩期合併症を起こすこともあると聞き、受けたほうがよいのかどうか悩んでいます。

(50歳 男性 東京都)

再発リスクが高い場合は 化学療法で予防効果

都立駒込病院腎泌尿器外科部長
の古賀文隆さん

ステージⅠ(I)期セミノーマでは主治医の言う通り、10~20%の転移再発率があります。ただ、そのほとんどが後腹膜リンパ節に転移再発するため、この部分への放射線照射で再発のリスクを大きく下げることができます。

しかし、放射線が腸にかかることによって、腸の障害が起きることもあり、また、相談者が心配する2次発がんや放射線合併症のリスクも無視できないことは確かにあります。

セミノーマの場合は、転移が見つかってから照射しても遅くありません。術後の定期検診でリンパ節転移が発見された時点で放射線治療や化学療法を行うことでほとんど治癒するために、現在は予防目的で放射線照射を行うことは診療ガイドライン上で推奨されていません。再発リスクが1~2割ですから、残りの8~9割には無駄な治療ということになってしまうからです。

予防照射の代わりに、転移再発リスクが高いⅠ(I)期セミノーマの患者さん(腫瘍径が4cmを超えている、かつ精巣網浸潤あり)の場合は、パラプラチンによる化学療法を1クール行うことで、予防的放射線照射と同様の再発予防効果が報告されており、現在の治療の標準となっています。

ステージⅠ(I)期セミノーマは予後がよいので、悩み過ぎずに医師とともに治療選択しましょう。

パラプラチン=一般名カルボプラチン

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