腫瘍径が5㎝近い。手術以外の方法は

回答者・古賀文隆
都立駒込病院腎泌尿器外科部長
発行:2015年10月
更新:2016年1月

  

左精巣を摘除し、非セミノーマという病理診断でした。術後は経過観察となったのですが、半年が過ぎ、定期検診で腫瘍マーカーの異常値が確認され、CT検査で後腹膜リンパ節への転移が判明しました。BEP療法を3クール受けたものの、腫瘍の大きさがまだ5㎝近くあり、手術を勧められています。手術以外の方法はないのでしょうか。

(48歳 男性 東京都)

後腹膜リンパ節郭清で 残存腫瘍の摘除を

都立駒込病院腎泌尿器外科部長
の古賀文隆さん

現時点で腫瘍マーカーが陰性化していれば、後腹膜リンパ節郭清で残存腫瘍の摘除をすべきです。非セミノーマは放射線の有用性が確立されていないので、相談者のケースでは、腫瘍の大きさを考えると手術が唯一の有効な治療法と考えられます。

精巣腫瘍の場合、化学療法が有効なので、がんを抑えた上で手術をします。抑えられているかどうかの指標が腫瘍マーカーです。

まだ腫瘍マーカーが正常化していない場合は、BEP療法で半減期曲線に乗って腫瘍マーカーの低下が得られているならばBEP療法の継続を勧めますが、腫瘍マーカーの低下が不十分であれば、2次化学療法としてVIP療法に切り替えて腫瘍マーカーの正常化を目指すべきと考えます。手術後に、残存腫瘍の摘除標本にがん細胞の残存を認めなければ、今後は経過観察、残存のある場合は、追加の補助化学療法も考慮されます。

同じカテゴリーの最新記事

  • 会員ログイン
  • 新規会員登録

全記事サーチ   

キーワード
記事カテゴリー
  

注目の記事一覧

がんサポート11月 掲載記事更新!