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2014_sep_i

個別化医療総論 急速に進む遺伝子解析と新薬開発

監修●大津 敦 国立がん研究センター早期・探索臨床研究センター長/東病院臨床開発センター長
取材・文●「がんサポート」編集部

がん治療界で「個別化医療」という言葉が使われ出したのは30年ほど前だ。そして近年、そのころからは思いもよらぬほどの急カーブを描きながらの進展を見せている。がんの原因となる遺伝子変異を見極め、それに対する分子標的薬を投与するという細密さが基本だ。がんの化学療法における個別化医療の現況を、最前線の研究者に聞いた。

肺がんの個別化医療 遺伝子診断ネットワーク

監修●後藤功一 国立がん研究センター東病院呼吸器内科長
取材・文●「がんサポート」編集部

個別化医療は、肺がんでもスピードアップしている。肺がんの原因遺伝子を突き止め、それを阻害する最適な分子標的薬を投与する薬物療法が浸透した結果、さらに多くの原因遺伝子を特定しようという試みが繰り広げられている。しかも、スクリーニング(選別)と新薬開発を効果的に結びつけようという画期的な発想だ。

乳がんの個別化医療 「ホルモン受容体陽性・HER2陰性」で抗がん薬の追加治療を迷うときに

監修●新倉直樹 京都大学大学院医学研究科標的治療腫瘍学講座
取材・文●増山育子

「ホルモン受容体陽性・HER2陰性」タイプの乳がんで、がん細胞の増殖能が高いと判断される場合には、術後補助化学療法としてホルモン療法に加え、抗がん薬治療が行われる。この増殖能が高いか低いかの判断材料に用いられるのが、Ki-67という核内のタンパク質だ。しかし、測定法が標準化されておらず、施設ごとに判断基準も異なるため、注意が必要だ。

大腸がんの個別化医療 1度に多数の遺伝子を調べる検査キットも申請中

監修●吉野孝之 国立がん研究センター東病院消化管内科医長
取材・文●半沢裕子

大腸がんも個別化医療が進んでいるがん領域の1つだ。進行・再発大腸がんの治療で使われている、アービタックスやベクティビックスでは、KRASと呼ばれる遺伝子に変異があると、その効果が発揮されないことがわかっていたが、最近ではそれ以外の遺伝子にも変異があると、薬が効かないことがわかってきたという。

血液がんの個別化医療 症例に応じた薬剤選択と投与量の調節がカギ

監修●大西一功 浜松医科大学附属病院腫瘍センター教授
取材・文●「がんサポート」編集部

日本で初めて分子標的薬が承認されたのは2001年。同年承認されたのは3種類だが、そのうち2つは血液がん治療のグリベックとリツキサンだ。その後も多くの新薬が登場し、治療成績を上げている。がんの中でも強い治療を行う領域だけに、症例に応じた薬剤の選択と投与量の調節が個別化医療のカギとなる。

皮膚がんの個別化医療 重要なポイントはBRAF遺伝子変異の有無

監修●堤田 新 国立がん研究センター中央病院皮膚腫瘍科医長
取材・文●柄川昭彦

これまで30年近く新薬が出てこなかったメラノーマ(悪性黒色腫)の治療が大きく動き出した。2011年以降、新薬が続々と登場。遺伝子変異がある患者のみが適応となる薬剤も次々出てきており、メラノーマは個別化医療の時代に突入した。
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