肺がん治療のアンメットニーズと最新治療戦略 ――株式会社アムジェン メディアセミナーより

[2022.02.10] 取材・文●「がんサポート」編集部

2022年2月1日「肺がん治療のアンメットニーズと最新治療戦略』――株式会社アムジェン メディアセミナーがWebで開催された。その中で静岡県立静岡がんセンター呼吸器内科部長の高橋利明さんが、「進行非小細胞がんに対する薬物療法の現状」と題して講演した。

肺がんは、日本人のがん死亡のトップ

肺がんの年間死亡数は、男性53,338人、女性22,056人、全体では約75,000人以上で(公益財団法人 がん研究振興財団発刊「がんの統計2021」から)、がん種の中で第1位だ。そして罹患数では、大腸がん、胃がんに続き第3位で、年間約12万人以上が肺がんと診断されている。さらに、地域がん登録(2009年~2011年)におけるがん全体の5年相対生存率は、64.1%であるに対して、肺がんの5年相対生存率は、34.9%と低いレベルで、まだまだ予後不良のがん種であり、さらなる治療開発が必要だと高橋さんはいう。

肺がんは、病理組織分類上、「非小細胞肺がん」と「小細胞がん」に分けられる。非小細胞肺がんはさらに、「扁平上皮がん」と「非扁平上皮がん」とに分けられる。そして非扁平上皮がんは「腺がん」と「大細胞がん」に区別されているとし、肺がん全体の約8割が、「非小細胞肺がん」で、その中でも「腺がん」が約5割以上を占めるという。

非小細胞肺がんの病期別治療法(がん情報サービス「肺がん治療」より)では、ステージⅣの場合、薬物療法のみで、使われる薬剤は、細胞障害性抗がん薬、分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬である。

しかし、現在、非小細胞肺がんにおける2021年までに承認されている薬剤は、1980年代のシスプラチンやカルボプラチンなどの白金製剤、2002年イレッサ(一般名ゲフィチニブ:分子標的薬)が発売となり、その後、2015年オプジーボ(一般名ニボルマブ:免疫チェックポイント阻害薬)が発売となり、この40年間で多くの肺がんの治療薬が承認され、治療の選択肢は大幅に増えているという(図)。

今後さらに、さまざまながんドライバー遺伝子が発見され、それに対する新しい分子標的が開発されて、免疫チェックポイント阻害薬においてもその数を増していくだろうという。さらに、それぞれの薬剤の特性をいかし、併用療法での治療成績の向上をめざしているとした。

KRAS G12C遺伝子変異に日本で初めての新薬承認

高橋さんは、肺がん遺伝子変異の頻度(腺がん)について、日本人の場合、EGFRが約50%強を占め、次に多いものがKRASで、およそ10%を占めている。がん細胞における変異KRASタンパクの役割は、活性化されたKRASは、下流の複数のシグナル遺伝子を介して、細胞増殖を制御しているという。KRAS変異を有するがん細胞では、活性型のKRASが優位になり、がんの増殖や転移などに関わっているだろうとした。

ルマケラス(一般名ソトラシブ)はKRASG12C変異陽性の切除不能・再発非小細胞肺がんの治療薬として、今年の1月に承認された。国際共同臨床試験における評価では、客観的奏効率(ORR)、全生存期間(OR)、無増悪生存期間(PFS)などにおいても有効性を示し、免疫チェックポイント阻害薬+プラチナ併用化学療法既治療例に対する試験でも、奏効率37.1%、無増悪生存期間中央値は6.8カ月であったという。

高橋さんは、まとめに他のがん種と比較して肺がんの予後は不良であり、治療成績は依然として満足できるものではないとしながらも、免疫チェックポイント阻害薬、分子標的薬の開発が急速にすすみ、進行性非小細胞肺がんにおいても、長期生存を期待できる状況にあると結んだ。

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