乳がん検診は30歳代から、検査機器の充実した施設で MICIN少額短期保険株式会社主催の勉強会
[2023.03.01] 取材・文●「がんサポート」編集部
2023年2月8日、MICIN(マイシン)少額短期保険株式会社主催、「乳がん検査の基礎から最新手法まで」の勉強会が都内で開催された。講師は品川ブレストクリニック院長の嶋本裕さんと乳がん体験者さんのカナ子さんがゲストに招かれた。
マンモグラフィと超音波を組み合わせた検査が重要
品川ブレストクリニック院長の嶋本さんは、「最近は、乳がん検診を受ける方の意識が高くなっています」と語る。その理由として、「親族や身近な方が乳がんに罹患して、情報を得るケースが増えてきているからでは」という。実際、乳がん罹患者数をみても10年前は20人に1人だったが、直近では9人に1人と増加している。
また、年代別にみるとおよそ9割が40歳以上。AYA世代でも乳がんを発症するケースもあるが、発症年齢は若くなっている印象だという。
「乳がんは0期、Ⅰ期の早期に発見して治療すれば、9割が完治できますが、その病期で症状が出るケースは少ないため、無症状でも乳がんの検診を受けることを薦めます」と語り、「検診では画像診断が重要、それも最新の画像検査診断機器で」とのこと。
日本の乳がん検診(1次)は、40歳以上で2年に1回、問診とマンモグラフィ検査が基本である。
しかし、「マンモグラフィだけでは、早期の乳がんをみつけるのは難しいのでは」と、嶋本さんは疑問を投げかけた。
その理由は、アジア系民族の約半数は乳腺組織が発達した状態(デンスブレスト)であり、マンモグラフィでは、しこりと乳腺の両方とも画像に白く写しだされるため、しこりを形成した乳がんが見逃されることもあるからだという。その場合、「超音波(エコー)検査を並行して行うことが重要である」とのこと。
マンモグラフィは、乳がんのサインを見つけるため、超音波はしこりみつける検査であり、両方をうまく組み合わせた検診が大切だと強調した。さらに「造影MRI検査も欠かせない」とし、マンモグラフィや超音波ではみつけられない小さながんまで画像診断することが可能とのこと。とくに遺伝性乳がん(遺伝性乳がん卵巣がん症候群:HBOC)と診断された方には、ガイドラインで推奨されている毎年1回の造影MRIを実施しているという。
乳がん経験者へのアンケート調査から
当日配布された資料の中から―――MICINが、乳がん経験者さんを対象にしたアンケート調査を実施した。
調査対象は乳がん経験のある女性、調査期間2022年9月20日~9月22日。調査方法は、インターネット調査、有効回答数300件。回答者内訳は、30代1%、40代18%、50代37%、60代以上44%。
調査結果より―――初めて乳がんと診断されたとき、最も心配だったことは、「再発・転移するかもしれない」(27.5%)、「お子さんの世話や将来ついて」(13.2%)、「仕事について」(10.7%)の順で、ご自身のことだけでなく、周囲に対しても心配している。
また、乳がん治療後~現在も、約8割の方が「心配・不安なことがある」項目の中で、その6割が「再発・転移するかもしれない」だった。
さらに、半数以上が「乳がんと診断される前にやっておけばよかったと思うことがある」と回答。そのトップは「保険への加入」(33.7%)。「貯金」(15%)、「乳がん検診」(13.7%)と続いた。
乳がんと診断されて「想定外だったこと」については、「治療期間が長い」(37.3%)、「自身の体調の変化、温泉やプールに行きにくい」(31.3%)、「新しく保険に入れない」(28.7%)。
また、半数以上が「治療費以外での出費」について、「術後用の下着や水着」(27.7%)、「ウィッグ」(23.3%)、「通院のための交通費や宿泊費」(21.7%)を挙げた。
ゲストの乳がん体験者であるカナ子さんは、「乳房に違和感や異変を感じたら、乳がん専門クリニックへの受診をおすすめします。そして大切なのは、そうなる前の『乳がん検診』の習慣化ですね。私の場合は、通いやすくて『乳がん検診』ができる婦人科で、子宮がん検診や更年期の相談などもしていました。女性特有のさまざまな症状を話せる、かかりつけ医があることで、定期的な『乳がん検診』もできると思います」と、経験を語った。
さらに、がん保険について「乳がんと診断されたときに、ちょうどがん保険の期間が終了していたのですが、家族が入っていた保険で対応できました」
最後に、嶋本さんは「乳がんの早期診断・早期治療が予後もよく、完治の可能性も高いので、無症状でも定期的に検診を受けることが重要です」と結んだ。