真性多血症の治療に新たな選択肢 新薬ベスレミが2023年3月に承認される

[2023.07.01] 取材・文●「がんサポート」編集部

真性多血症の新たな治療薬に期待すると話す桐戸さん

6月14日、東京でファーマエッセンシアジャパン株式会社メディアセミナーが開催された。

山梨大学医学部血液・腫瘍内科教授桐戸敬太さんの「真性多血症治療の新たな地平」と題した講演が行われた。血液細胞がつくられる仕組みから話は始まり、希少疾病〝真性多血症発症〟について、さらに検査、治療法、有害事象などに言及した。

真性多血症とは

血液中の赤血球、白血球、血小板などを血液細胞といい、その血液細胞は、背骨の中心部にある骨髄で、血液細胞のもとになる造血幹細胞は産生され、増殖しながら分化(未熟な細胞が成熟した細胞になること)してつくられる。

造血幹細胞は、骨髄系幹細胞とリンパ系幹細胞に分かれて成長。骨髄系幹細胞からは、赤血球、白血球、血小板などがつくられ、リンパ系幹細胞からは白血球の一種であるリンパ球(T細胞、B細胞、NK細胞)がつくられる。そして骨髄系幹細胞の一部が骨髄芽球と前骨髄球に分かれ、白血球になっていくとの説明があった。

真性多血症(以下:PV)は、骨髄増殖性腫瘍の一種で、骨髄の造血幹細胞の異常により、全種類の血球が過剰に産生される病気。

PV は、遺伝子変異によって発症すると考えられており、ほぼ全ての PV 患者さんで造血幹細胞中のヤヌスキナーゼ2(JAK2)遺伝子に主に「JAK2 V617F」と称される変異が生じ、著しく赤血球が増加する。

症状としては頭痛、めまい、吐き気・嘔吐、関節痛、出血などさまざまなものがあり、とくに注意すべき合併症は、狭心症、心筋梗塞、脳梗塞、動静脈血栓症、脳出血、消化管出血などである。

PVの疫学的見地からは、2018年のデータでは、国内の罹患者数は約800名とされているが、実際は、約1,000~1,500名ほどの患者さんがいるのではとの印象であるという。比較的若い60歳以下の患者さんも多いという印象。どの年齢でも発症するが、とくに 60 歳以上の成人に多く認められる。また、PVを30代、40代で発症し、その後、50代、60代で、心筋梗塞や脳卒中などの血栓症を合併する可能性も高いとし、その場合には生命にかかわる恐れがある。また、一部の患者さんは疾患が進行し、骨髄線維症や急性白血病に移行するケースもあるという。

PVの治療は、①瀉血、②抗血栓療法、③細胞減少療法の3つがあげられ、病態、進行具合により的確に治療選択するという。細胞減少療法については、60歳以上もしくは過去に血栓症の経験のある方のみが対象となるという。

瀉血:月に1~2回のペースで、1回あたり200~400mlの血液を抜き取る治療法

細胞減少療法:抗がん薬、インターフェロン、分子標的薬(JAK阻害薬)を使って、血液細胞の数を減らす治療法

新薬ベスレミが承認される

一般名、ロペグインターフェロン アルファ-2b(商品名:ベスレミ)は2023年3月に承認された真性多血症の治療薬。インターフェロン製剤の1つで、通常のインターフェロンとの違いは、特殊な技術を用いてそのインターフェロンαをペグ(PEG)化したもの。ペグ化とは、ポリエチレングリコール鎖で化学修飾すること。

インターフェロン-2bにペグを結合させることでインターフェロン-2bが体内で吸収分解されにくくなり、それにより2週間に1回のペースでの投与が可能になった。さらにロペグインターフェロン アルファ-2bの効果については、体内の免疫を調整し、遺伝子変異のある造血幹細胞を排除し、遺伝子変異のある造血幹細胞の増殖を抑制する働きがあるという。

最後に桐戸さんは、ベスレミの副作用について、インフルエンザ様疾患、下痢、脱毛症、そう痒症などいくつかあるが、どれも重篤なものは少なく、急性白血病や、骨髄線維症などの発症を抑制する効果に期待したいと結んだ。

インターフェロン(IFN:Interferon):哺乳動物におけるサイトカインファミリーの一種で、当初はウイルス感染を抑制する因子として同定された。この抗ウイルス特性に加えて、現在までに、増殖抑制、免疫調節および他の多くの活性を示すことが明らかとなっている。また、I型インターフェロンは、ヒトでは、IFN-α、IFN-β、IFN-ε、IFN-κ、IFN-ω、IFN-υ が見つかっている一方、 IFN-δ、IFN-τ、IFN-ζ は見られない。I型インターフェロンは、通常、多くのウイルスやいくつかの病原体に応答して、マクロファージ、好中球、樹状細胞および他の体細胞から産生される

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