若年性乳がんの基礎 QOLを重視した治療の選択を!
若年性であることは再発リスク因子ではない
年間約6万人が罹患すると言われている乳がん。そのうち、いわゆる若年性乳がんの割合は2・7%程度とされる。全体から見れば、罹患者の少ない若年性乳がんではあるが、結婚・出産など女性としてのライフイベントとどう向き合うかなど、QOL(生活の質)を重視した治療の提供が求められる。ここでは、若年者への考察を交えながら、乳がんの基礎をつかんでいく。
Q1 乳がんはいくつくらいでなるの?
乳がんは、女性が最もかかりやすいがんです。年ごとの推移を見ると、罹患率、死亡率ともに増加しています。死亡率が増加し続けるがんは、日本では乳がんだけですが、一方で乳がんは比較的治りやすいがんでもあります。乳がんで亡くなる数は、罹患者数の3 分の1 以下です。
年齢別にみると、乳がんは統計上、30 代において発症する人が増加しはじめ、40 代後半から50 代前半に最も患者数が増えています。現在の日本では女性が最もかかりやすいがんで、16 人に1 人が罹患する計算です。若年性乳がんは一般に35 歳未満での発症をいいますが、全体の中では2・7%程度と、割合としては決して多くはありません。
Q2 自分でわかるの?
まずは乳房の構造から説明します。乳房は母乳をつくる乳腺(小葉の集まり)とそれを運ぶ乳管、そして脂肪などからできています。乳がんのほとんどは乳管から発生します。
自覚症状としては、乳房のしこり、腫れ、くぼみ、乳首からの分泌物などがあります。しこりや腫れなどは、若い世代で発生しやすい線維腺腫や乳腺症などでも起こります。
Q3 若年性乳がんの特徴は?
国立病院機構九州がんセンターの大野真司さんの研究によると、腫瘍の大きさを比較すると、若年性乳がんでは平均2.9cm で、非若年者に比べて大きいことがわかりました(図3)。
また、同じく大野さんの研究によるとステージでは、若年性乳がんでは非若年性乳がんに比べて、0 期、I 期の早期乳がんが少なく、II 期、III期の割合が高くなっていました(図4)。
その一方、「ザンクトガレン乳がん国際会議」という乳がん専門医の集まりでの合意事項として、以前は「年齢35 歳未満」は再発リスク因子の1 つとされていましたが、2009 年の会議で再発リスク因子から年齢が削除されました。それを受け、最近では年齢を特別な要素とせずに、腫瘍の特徴から有効と考えられる化学療法やホルモン療法をすることが重要とされるようになりました。
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