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まずはフィラデルフィア染色体の有無を知り、有効な治療戦略を決めることが先決
化学療法が基本。急性リンパ性白血病の最新治療

監修:秋山秀樹 東京都保健医療公社荏原病院副院長
取材・文:柄川昭彦
発行:2012年4月
更新:2013年4月

  
秋山秀樹さん
血液内科・造血幹細胞移植
が専門の
秋山秀樹さん

白血病の1つである、急性リンパ性白血病。
病気の進行が速いのが特徴だが、多くの効果的な抗がん剤の登場により、患者の予後が大きく改善している。
そして、フィラデルフィア染色体陽性の急性リンパ性白血病には、グリベック以外の分子標的薬も登場し患者の救いとなっている。

骨髄の白血病細胞が週単位で増加する

[血球の分化からみた急性リンパ性白血病]
血球の分化からみた急性リンパ性白血病

白血病には、「急性」と「慢性」があり、「骨髄性」と「リンパ性」がある。その組み合わせで4種類の白血病があり、その1つが急性リンパ性白血病である。略してALLと呼ばれることも多い。

急性とはどういうことか、荏原病院副院長の秋山秀樹さんはこう解説する。

「病気の進行が速いのが急性です。スピードによる定義はありませんが、骨髄に白血病細胞が著しく多く、それが急速に増加してきます。多くは年単位や月単位の変化ではなく、週単位でどんどん進行します。場合によっては日単位で進行する。これが急性です」

一方、リンパ性とはどういうことなのだろうか。

「血液の細胞は、造血幹細胞という1種類の細胞から、いろいろな細胞に分化していきます。その過程のどこでがん化するかによって、骨髄性とリンパ性に分かれます。リンパ球に分化する流れの中でがん化したのが、リンパ性白血病です」

この病気がどのようなメカニズムで起こるのか、はっきりしたことはわかっていない。発症に関与していると思われる遺伝子異常がいくつか見つかっているが、それだけで急性リンパ性白血病の発症を説明することはできないのだという。

細胞表面のたんぱく質で病気の種類を分類する

診断のためにどのような検査が行われるのだろうか。

急性白血病の診断には、「骨髄検査」が必要となる。骨髄中の白血病細胞を調べ、それが全体の20%以上だと、急性白血病と診断される。

リンパ性か骨髄性かの診断には、白血病細胞の表面にあるたんぱく質を調べる「表面マーカー検査」が行われる。リンパ性白血病には、B細胞系とT細胞系があるが、表面マーカー検査はその鑑別にも使われている。

さらに、「染色体分析+遺伝子検査」も必要となる。染色体を詳しく調べ、何か特徴のある染色体異常、遺伝子異常がないかを調べるのである。

「現在、白血病の分類には、WHO分類という方法が使われています。どのような染色体異常や遺伝子異常を持っているかによって、病気を分類するのです。このような検査が重要なのは、フィラデルフィア染色体(説明後述)という染色体を持っているかどうかによって、有効な治療法が異なってくるからです」

つまり、染色体検査や遺伝子検査を行い、病気のタイプを明確にしておくことが、効果的な治療を選択していくのに必要なのである。

多くの抗がん剤を併用し繰り返し治療する

[急性リンパ性白血病の治療法の例]
急性リンパ性白血病の治療法の例

治療は抗がん剤による化学療法が基本で、フィラデルフィア染色体を持たないタイプなら、この治療法が行われる。

「原則は、多剤併用です。何種類もの抗がん剤を一緒に使います。それを1回だけでなく、何回か繰り返して行います。そうやって体内の白血病細胞を減らしていくのです」

化学療法には、「寛解導入療法」「地固め療法」「維持・強化療法」などがある。最初に行うのが寛解導入療法で、完全寛解になることを目指して行われる。完全寛解とは、検査で白血病細胞が見つからなくなることをいう。ただし、この状態でも白血病細胞が完全になくなったわけではない。そこで次の治療として、隠れた白血病細胞をできるだけ多く殺す地固め療法を繰り返し行う。その後、維持・強化療法を行い、白血病細胞をゼロに近づけ、再発を防ぐのである。

こうした治療には、どのような抗がん剤が使われているのだろうか。

「これが標準治療という治療法はありません。いろいろな化学療法が検討されている段階で、これが100点という治療法はないのです」

右図(急性リンパ性白血病の治療法の例)に示したのは、JALSG(日本成人白血病治療共同研究グループ)の治療法の1つである。これは検討段階の治療法ということになるが、現在も、新しい治療法がさらに検討されている段階である。


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