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再発治療として新たな3剤併用療法の効果認められる

最も有効な治療をできるだけ早く!小細胞肺がんの治療戦略

監修●軒原 浩 国立がん研究センター中央病院呼吸器内科医長
取材・文●半沢裕子
発行:2015年9月
更新:2015年11月

  

「小細胞肺がんは化学療法や放射線治療が効きやすいので、標準治療をしっかり受けてほしい」と
語る軒原 浩さん

進行が早く、転移もしやすい一方で、抗がん薬や放射線治療がよく効くとされる小細胞肺がん。最も効果的な治療法を、できるだけ早く受けることが、治癒を目指すという意味で重要だと言えそうだ。

進行が早く転移しやすいが 薬も放射線も効く

肺がんは、小細胞肺がんとそれ以外の非小細胞肺がんに分けられ、小細胞肺がんは肺がん全体の13~15%を占めるとされている。性別比は5対1と男性に多く、喫煙と強い関連を持つとされる。進行が早く、転移しやすいという特徴があり、そのため、ある程度病状が進行し、せきや息切れなどの症状により見つかる患者さんも多い。

反面、「抗がん薬や放射線などの治療に対する感受性が良い、つまり効きやすいがんでもありますので、病状が進んでから見つかってもがっかりせず、速やかに治療に取り組んでいただきたいと思います」と国立がん研究センター中央病院呼吸器内科医長の軒原 浩さんは語る。

では、小細胞肺がんの病期はどのように分けられ、それぞれの病期にはどのような治療が行われるのだろうか。

通常、がんの病期はⅠ(I)~Ⅳ(IV)期に分けられるが、小細胞肺がんの場合、それに加えて限局型と進展型の2つに大きく分けられる(図1)。文字通り、病変が片方の胸に限局しているのが限局型、片方の胸にとどまらず、反対側のリンパ節や離れた臓器などに転移しているのが進展型だ。

図1 小細胞肺がんの限局型と進展型

「全ての病変に放射線を照射できるのが限局型。転移のある進展型は血液を通じてがん細胞が全身に行き渡っているので、全てのがん細胞に放射線を照射することはできません。つまり、放射線治療が可能かどうかで分けられます」

図2 小細胞肺がんの特徴と治療の考え方

いずれの場合も小細胞肺がんの治療には心構えがいる。

「進行が早くて転移を起こしやすい一方、抗がん薬や放射線がよく効きますから、基本は『最も有効な治療をできるだけ早く』、『強力な治療から順番に行っていくこと』です。

高齢者や全身状態(PS)の悪い方にはマイルドな薬剤の治療を行う場合もありますが、できるだけ標準治療(今現在、最も効果的と考えられている治療)をしっかり受けていただきたいと思います」(図2)

限局型では抗がん薬+放射線治療が効果的

具体的に、それぞれの治療法について見てみよう(表3)。

表3 小細胞肺がんの治療方針

限局型でもリンパ節転移をしていることの多い小細胞肺がんは通常のⅠ(I)期、つまり転移のない早期がんで見つかることはまれだが、Ⅰ(I)期で見つけられた場合には手術を行い、病変を全て切除する。そして、術後に抗がん薬治療(化学療法)を行う。

Ⅰ(I)期を除く限局型の標準治療は、抗がん薬による化学療法と放射線治療の併用療法だ。限局型の場合、化学療法には「シスプラチン+エトポシド」の2剤併用が使われる。また、放射線治療は抗がん薬と同時に行うと、副作用は強いものの予後が良いとのデータがあり、同時照射が標準治療となっている。

化学療法の最初のコースと同時に放射線治療を開始するが、1日1回照射と1日2回照射の多分割照射を比較した臨床試験で、1日2回の多分割照射のほうが予後が良いとの結果が出たため、1日2回照射が標準治療になっている。具体的には1回1.5Gy(グレイ)の放射線を朝夕に、3週間病変に照射する(全部で3Gy*15日間=45Gy)。

軒原さんは「できるだけ早い時期により多くの放射線量を照射したほうが、がん細胞を攻撃するという意味では良いのです。ただ、1日2回照射でも患者さん、医療者ともに負担が大きく、1日1回照射(2Gy程度)を行っている病院も少なくありません。抗がん薬との併用で毒性も強く出るため、基本は入院での治療になります」と言う。

なお、治療がよく効き、画像上がんが消失した患者さんには予防的全脳照射を行う。小細胞肺がんは脳や中枢神経系への転移が多いためだ。脳全体に放射線を照射し、微小ながん細胞を叩く。予防的全脳照射は、通常1回2.5Gyの放射線を10回照射する。

シスプラチン=商品名ブリプラチン/ランダ エトポシド=商品名ベプシド/ラステット

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