患者さんが安心して療養生活が送れるように
脱毛ケア「バンダナ帽」患者さんの声を形に
みんなの温かい気持ちをのせて

アクティア代表取締役の
松村敦子さん
「私は病院でこの『akkoバンダナ帽』に出合いました。病院の外来に来ていた女性がバンダナ帽をかぶっていて、素敵な帽子だと思い、思い切って声をかけてここを教えてもらいました」
今、患者さん向けのバンダナ帽子「akkoバンダナ帽」が、静かな広がりを見せている。取扱店は、国立がん研究センターをはじめ、全国の医療機関に及ぶ。
「『akkoバンダナ帽』のakkoは、温かい心という意味で付けたものです。帽子を一生懸命作るというこちら側の気持ち、そしてこれを見て、入院中のあの人に持っていきたいというあったかい気持ち、さらには受け取る側の『ありがとう』という優しい気持ち……。みんなの温かい心をakkoに託したんです」
こう話すのは、福祉用品販売会社アクティアの代表取締役・松村敦子さんだ。
お義母さんのがんを間近にして
もともと専業主婦だった松村さん。そんな松村さんがバンダナ帽をつくるきっかけとなったのは、20年間一緒に暮らしてきたお義母さんのがんだった。
「主人のお母さんとね、本当に気が合って……。本当にかけがえのない人だったんです」
そんなお義母さんが10年程前にがんを患う。尿管がんだった。抗がん剤治療を何度も受け、髪の毛はバッサリと抜け落ちた。そんなお義母さんを見て、お義父さんはかつらを買ってあげる。ただ、かつらは大きさが合わないうえ、かぶると頭がむれてしまう状態。
「せっかく買ってもらって使わんと悪いから、お父ちゃんがいるときだけかぶるわ」
そんなお義母さんを見て、「かぶりやすくて、違和感のない帽子を作ってあげたい――」。
それが、松村さんがバンダナ帽子を作るきっかけだった。
患者さんの声ありき

「akkoバンダナ帽」は、頭の後ろ側の〝しっぽ〟を軽く引っ張るだけで、帽子が脱げないサイズに調節ができる点が大きな特長。また、頭の上にタックが入っており、髪の毛がなくてもふわっとしたニュアンスを醸し出せる。他にも、抗がん剤の影響でまゆ毛やまつ毛が抜けてしまう人も多いが、そういった人には、額のターバン部分を引き伸ばしてかぶることで、目もとまで帽子で覆うことも可能だ。
ちなみにこういった工夫は、すべて患者さんの声から。
「夜寝ている間に、帽子が脱げてしまった……」
「抗がん剤の影響で指の感触がなくなって、バンダナをしたくても結ぶことができない」
「まゆ毛やまつ毛がなくなって、夜でも病院内ではサングラスをかけて売店に行っている」
数多くの患者さんの声を取り入れて作られたもの。それが「akkoバンダナ帽」なのだ。