化学療法、高齢者の留意点は
78歳の母が骨髄異形成症候群で、不応性貧血という診断を受けました。急性骨髄性白血病になりやすいタイプと聞き、不安です。これから薬剤による治療を行うということなのですが、母は高齢なので、治療の副作用などが心配です。副作用への対策や、治療中に高齢患者が気をつけるべきことなどを教えてください。
(千葉県 女性 51歳)
A 副作用の少ない治療法も
ご年齢を考えると、移植はありません。支持療法でいくか化学療法でいくかということになりますが、昨今は、みなさん長寿なので、輸血だけという支持療法ではなく、積極的に治療をしたほうがいいと思います。
私たちはビダーザ*を使った治療をしています。これはエピジェネティック(遺伝子そのものではなく、それに影響を与えるもの)な治療といって、3~4割の人にとてもよく効きます。遺伝子の異常ではなくて、遺伝子がうまく働かなくなってしまったものをもう1回働かせるようにするという治療が、この分野で非常によいとされています。
ビダーザは、がん抑制遺伝子が病気を抑える力がなくなってしまったときに、もう1度きちんと働くようにするという新しい概念の薬です。7日間、毎日注射するので、外来ではなくて、入院をするというケースが多くなります。
ビダーザ治療は、1~2コースを経ると手ごたえがわかり、4コースくらいで、貧血がよくなったり、血小板減少が改善されたり、白血球が増えたりということが見えてきます。
4コースを行って効果があるようなら6コース、8コースをやってもいいと思います。
ビダーザの副作用はとても少ないと言えます。白血球が減ったりするので、感染や出血を気にしなければなりませんが、それほど頻繁には発生しません。強い吐き気や脱毛もあまりありませんので、選択しやすい治療だと思います。
いきなり支持療法ではなくて、1度試してみるべきだと思います。効果がなければ、それから支持療法に移ってもいいと思います。
高齢の患者さんが気をつけることとしては、肺炎があります。細菌性だけでなくカリニ肺炎などにも注意が必要です。予防するには、口腔内ケアをすることです。寝る前によくうがいをして歯を磨くことが大切です。高齢者の場合、気道への夜間の垂れこみから肺炎になることがあるので注意すべきです。転んだりして出血することにも注意を払うよう求められます。
*ビダーザ=一般名アザシチジン