セミノーマで睾丸摘出後、化学療法。腫瘍マーカーが上昇しているが…

回答者:高橋 悟
東京大学大学院 泌尿器科助教授
発行:2005年7月
更新:2013年12月

  

takahashi[1]

精巣腫瘍(セミノーマ)との診断で2年前に右の睾丸摘出を受けました。ステージ1で、術後に、ブリプラチン(ランダ、一般名シスプラチン)とベプシド(ラステッド、一般名エトポシド)、ブレオ(一般名ブレオマイシン)の3剤併用(BEP療法と呼ぶ)の化学療法を2クール行いました。しかし、最近になって、腫瘍マーカーが微妙に上がってきています(β-HCGが0.2→0.3→0.4)。CTや超音波では問題は見当たらないのですが……。擬陽性だと主治医は言いますが、再発を防ぐために化学療法なども考えたほうがよいのでしょうか。また、最近、左の脇腹に鈍痛があり、風呂場で左の睾丸を触ってみると硬くなっている気がしています。

(東京都 男性 36歳)

A 再発も疑われるが、もう少し様子を見るべき

確かに、再発が疑われる状態ではあると思います。ただし、術後2年で腫瘍マーカー(β-HCG。正常値0.3以下)が0.4とのことですから、それほど高くはなく、もう少し様子を見る必要があると思います。この腫瘍マーカーは上がったり、下がったり、このまま横ばいで推移することもあります。0.6~0.8になり、しかも連続的に上昇傾向が認められる場合には骨盤内を含めたリンパ節がはれていないかどうか、CTでよく検査してもらう必要があります。

再発した場合は、BEP療法が有効です。腫瘍マーカーが正常になるまで治療を続けます。ほとんどの場合、このBEP療法で完治できます。もし有効でなければVIP療法などのセカンドラインの化学療法を行います。セミノーマは進行しても化学療法で治せるがんです。左側の睾丸が硬いとのことですが、発症したかどうかはCTなどできちんと検査してみないとわかりません。ただ、精巣腫瘍のない人が新たに精巣腫瘍になるよりも、1度、精巣腫瘍になった人に精巣腫瘍が発症する確率はかなり高いといわれています。主治医に相談して、検査をきちんと受けるようにしてください。

VIP療法=エトポシド、イホマイド、及びシスプラチンの3剤併用療法

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