精巣がんの生殖機能への影響を知りたい

回答者:岸田 健
神奈川県立がんセンター 泌尿器科医長
発行:2013年3月
更新:2013年11月

  

夫(34歳)に関して質問です。セミノーマⅢBの精巣がんといわれました。すでにリンパ節や肺へ転移しているため、精巣の摘出後、化学療法する旨を伝えられました。私たちは子どもを作ることを考えています。治療は、生殖機能への影響があるのでしょうか? 精子の冷凍保存などもあるようですが、子どもを作るタイミングなどはあるのでしょうか? また、抗がん薬の影響が生まれてくる子どもにないか心配です。その点も教えてください。

(福岡県 32歳 女性)

A 抗がん薬治療で生殖機能の低下も

精巣がんになる方には、元々何らかの要因で生殖機能(精子を作る能力)が落ちていることがあり、抗がん薬の治療に関わらず不妊症である場合もあります。しかし、残っている精巣が正常に機能していれば、通常の妊娠は十分可能です。

ただし元来の生殖機能に問題のない方でも、抗がん薬治療は精巣にダメージを与え、精子をつくる能力が一時的に落ちたり、場合によっては永久に失われてしまうことがあります。

そのため、抗がん薬治療を受ける場合は、必ず治療前に自分の生殖能力(精子の数、運動能力)を調べておき、精子がある場合は凍結保存をしておくことが大切です。凍結保存をした精子で人工授精をすれば、病気が治った後にお子さんを作ることができるからです。

残存した睾丸からの精子で自然にあるいは人工授精によって妊娠した場合、がんを罹ったことや抗がん薬治療を受けたことが、子どもに影響することも一切ありません。

精子の保存は有償ですが、大学病院や不妊クリニックなどの特殊な病院で行われており、主治医の先生にお尋ねください。

なお、お子さんを作るタイミングについては、患者さんご夫妻の年齢と病状によって様々でありますので、これも主治医の先生とよく相談することが大切です。

セミノーマ(精上皮腫)=胚細胞(精子になる細胞)から発生する腫瘍で最も頻度の高いがん。

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