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第1回 フコイダンとは?

免疫力を高めるガゴメ昆布「フコイダン」

【閲覧制限なし】
取材・文●田中 博
(2015年9月)

  
タカラバイオ研究チームリーダー
の大野木 宏さん

フコイダンは昆布、ワカメ、モズクなどの海藻のネバリのもとになっている高分子の多糖類で、食物繊維の一種である。1995年にタカラバイオが世界で初めてその化学構造と機能性の解明に成功した。同社は、ガゴメ昆布に含まれるフコイダンにがん細胞の増殖を抑制する作用やウイルス感染を抑制する作用、免疫力を高める作用などがあることを明らかにし、ガゴメ昆布「フコイダン」を配合した健康食品を開発している。フコイダンの研究に長年携わっているタカラバイオの大野木宏研究員に、フコイダンとは何か、またその有用性について語ってもらった。

1985年にフコイダンの研究を開始して以来、今年で30年

フコイダンは、今から100年ほど前、1913年にスウェーデン・ウプサラ大学のH.Z.Kylin教授によって発見された。ただ、その詳細は明らかではなく、1970年代までほとんど注目されることはなかった。

そんな中、1985年にタカラバイオはフコイダンの本格的研究を開始した。バイオ技術をもとに大学や企業に研究用試薬を提供する同社は、糖鎖工学研究に使える試薬を開発したいと考えており、国や大学などと連携して青森県弘前市に糖鎖工学研究の拠点となる研究所も開設していた。

一方、当時、欧米では食品の健康効果が注目され、どういう食品を摂取するとがんになりにくいかといった研究がさかんに行われていたが、同社は、日本人が古来摂取してきた食品に注目し、エビデンス(科学的根拠)に基づいた、日本人に合う健康食品を開発することを考えていた。

海藻は日本人が好んで摂取してきた食品であり、その意味でも、フコイダンは研究対象として適していたという。

昆布、ワカメ、モズクなどでフコイダンの化学構造を研究

■図1 ガゴメ昆布の強いネバリ

フコイダンについて知るにはまず構造を明らかにする必要がある。タカラバイオの研究グループは、このように考えて、フコイダンの化学構造を解明する研究を開始。

海藻から純粋なフコイダンを抽出し、質量分析やNMR分析などにより構造を決定した。ただ、当時の分析技術はもちろん今ほど性能が高くなく、そのため大量のフコイダンを抽出しなければならなかった。

また、フコイダンは数10〜数10万個の糖(フコースなど)が連なった高分子多糖類であるため、構造を決定するには鎖のように連なり絡み合う分子を断片化する必要がある。そこで、まず、フコイダンを食べることができる珍しい微生物を海の中から見つけ、その微生物がつくり出している消化酵素を大量に精製。この消化酵素を用いてフコイダンを分解して断片化し、その断片の構造を決定していった。

研究グループは、こうした作業を、昆布、ワカメ、モズクなど、さまざまな海藻で行った。昆布は、真昆布だけでなくガゴメ昆布でも行った。

糖鎖工学研究拠点のある弘前市と目と鼻の先にある函館の東海岸で、ネバリがとても強いガゴメ昆布がとれるという話を伝え聞いたためだ。ガゴメ昆布は、北からの寒流が南からの暖流の支流と交差する限られた海域の、水深10メートル以上のところに生育する希少な昆布である。実際に調べてみると、ガゴメ昆布は確かにネバリが著しく強く(図1)、フコイダンの含有量も真昆布の約3倍と多かった。真昆布のように出汁をとることはできないため、地元ではとろろ昆布や松前漬の原料に用いられている。

バイオサイエンスとテクノロジー、vol 60, 377-380, 2008

世界初 ガゴメ昆布「フコイダン」の化学構造と機能性の解明に成功

■図2 ガゴメ昆布がもつ3種類のフコイダンの構造

こうした地道な研究により、1995年、ガゴメ昆布から抽出したフコイダンの化学構造と機能性の解明に成功した。その結果はとても興味深いものだった。

一言でフコイダンといっても、海藻によって構造が大きく異なることが明らかになった。なかでも、ガゴメ昆布「フコイダン」は、天然界ではとても珍しい「硫酸基」をたくさんもつ多糖類で、他の海藻にはみられない3種類のフコイダン、すなわちU-フコイダン(グルクロン酸を含む)、F-フコイダン(硫酸化フコースだけからなる)、G-フコイダン(ガラクトースを含む)があることがわかった(図2)。

ガゴメ昆布「フコイダン」に含まれる硫酸基が機能に重要な役割を果たすことや、高分子であることが機能性に不可欠であることも明らかになった。化学構造の解明と前後して、ガゴメ昆布のフコイダンに抗がん作用があることも明らかになった。

そしてタカラバイオは、ガゴメ昆布から抽出したフコイダンを配合した健康食品を商品化する判断をした。

がん細胞増殖抑制、ウイルス感染抑制、免疫力増強などの作用も明らかに

同社では、商品化後もフコイダンの機能をさらに明らかにするための研究を続けており、研究結果を学会などで発表している。一連の研究で、フコイダンにがん細胞の増殖を抑える作用や、ウイルス感染を抑制する作用があることがわかってきた。

免疫力を高める作用があることも明らかになっており、このことががん細胞の増殖抑制やウイルス感染の抑制に寄与すると考えられている。さらに、フコイダンが免疫力を高める仕組みについても明らかになりつつある。

<続きは1月20日過ぎに掲載予定です>

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