がんのチーム医療・施設訪問9 在宅医ネットよこはま(神奈川県横浜市)

1人で行う在宅医療から みんなで行う在宅医療へ

取材・文●「がんサポート」編集部
発行:2015年3月
更新:2015年6月

  

在宅患者さんの願いに応えるために 医療関係者の力を集めよう
岡田孝弘さん 「在宅医ネットよこはま」代表/オカダ外科医院院長

開業医で外来診療をしながら、火曜日午後と木曜1日、土曜の午後。在宅医療に取り組んでいます。1週間の3分の1を在宅医療に費やしていることになります。半日で10軒くらいまわります。

看取りの時期に入ったがん患者さんは常に3~7人ほどおられます。何かあったら病院へ行くこともありますが、多くの方はできるだけ長く家で暮らしたいと思っておられます。

医師同士でフランクな協力を

在宅医療とひと口に言っても、病院を離れて看取りの段階で家に帰る方もいますし、治療をしながら在宅を続ける方もいます。それぞれに合った医療・介護をしなければならないのですが、それは地域の開業医にとっては大変なことです。専門ではない分野もあり、自分の体調や時間的な制約もあります。

この連携チームを、そのような悩みを解決して在宅医療に携わる医師を支援するとともに、新しく取り組もうという医師の背中を後押しするような組織にしていきたいと思います。

在宅医療には、一生懸命やろうとしても事情があって踏み切れない医師もいるし、やっているけれどマンパワー的に厳しい状況にある医師もいます。お互いにカバーしあってサポートすれば、もっと在宅医療は充実するはずです。対応に困った場合は、解決のノウハウをメーリングリストを活用して質問すればいいのです。専門家がいるので、こうすればいいとアドバイス、サゼスチョンをもらえます。「同行しましょう」という声が掛かることもあるでしょう。

連携組織が各地で生まれてほしい

在宅医療では、医師の数が足りません。これからはまだ在宅医療に取り組んでいない先生たちに入ってもらいたいと思っています。連携システムがあるので、午前9時から午後5時までしかできない方でも在宅に携われます。少しずつでも在宅をしましょうという活動を進めて、医師を増やしていきたいと思います。

初めての方には、ベテランに往診に同行してもらったりしてノウハウを伝えます。患者さんが喜ぶ在宅医療を届けるためです。

この組織は、行政から降りてきたのではなく、町で自然発生したことが特徴です。同じようなことを考えているお医者さんはどの地域にもいるはずです。その人を中核に広げていけば同じような組織ができると思います。いろいろなところにネットワークを作っていただきたいと思います。

院外でのチーム連携作りが進んでいる

事務局の置かれているオカダ外科医院

在宅医療で大きな役割を果たすのが地域の開業医。しかし、小さな医院にとって何人もの在宅患者さんを診るのは、時間的にも労働的にも大変な負担だ。それを少しでも解消して、在宅医療を敬遠している医師にもこの分野に加わってもらおうという、院外でのチーム連携作りが進んでいる。

地域密着型開業医の連携

病院を出たい、住み慣れた家で過ごしたい――そう願う患者さんは増え続けている。病院も新しい患者さんを受け入れなければならないので、回復を見ながら退院のタイミングを図る。在宅医療の位置づけは高くなる一方だが、開業医にとってはすぐに手を挙げるのは難しいという。

「在宅医療で重要なことは24時間、365日、患者さんから連絡を必ず受けることと、場合により患者さんの元に駆けつけなければならないことです。在宅の患者さんを何人も抱えている開業医は通常の診察と合わせて、文字通り寝る暇もないくらいなのです」

「在宅医ネットよこはま」代表で、オカダ外科医院(旭区)院長の岡田孝弘さんは在宅医療に携わる開業医を代弁する。

医師が1人で診療にあたる地域密着型の医院では、その傾向がより強い。孤立感を深め、在宅医療から撤退してしまう医師も珍しくない。また、自分の専門ではない疾患や症状に対応しなければならないこともしばしばだ。

岡田さんが目指したのは、医師同士の地域連携だ。2003年のことだった。地域で在宅医療をしていた医師が集まってネットワークを作り、支援し合いながらより質の高い在宅医療を提供していこうと、連携組織を立ち上げた。

仕組みは、在宅医ネットよこはまの会員で在宅医療をしている医師・歯科医師にインターネット上で登録してもらう。登録されるとメーリングリストが利用できるので、医師の間で質問し合ったり、アドバイスを求めたりできる。1対1のメールではないので、いろいろな人から回答が寄せられるのをみんなで共有できる。登録された医師自身の情報は会員専用ページで閲覧できるので、自分の近所にどのような医師がいて、どのような領域を専門に在宅医療を行っているかがすぐにわかる。

「会員専用ページの情報から連携を取りやすい医師を探して自ら連絡を取り、仲間になることになれば、お互いに協力し合おうということです」

今後、その輪の中にパートナーとして訪問看護師やケアマネジャー、薬剤師など多職種が一緒になり在宅医療・介護チームを作っていく予定です。

毎年開催される市民公開フォーラムの準備会(写真提供:岡田孝弘氏)

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