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患者さんが積極的に生きていける支えに

在宅・緩和チームとの連携で〝チーム血液〟の充実化図る

監修●近藤咲子 慶應義塾大学病院看護部病棟師長(血液内科)
取材・文●伊波達也
発行:2014年5月
更新:2020年1月

  

「血液がんの患者さんは、最初の段階から丁寧に支えていく必要があります」と語る近藤咲子さん

自覚症状がそれほどないにもかかわらず、告知時に深刻な状態が伝えられ、すぐに治療が開始されるケースの多い血液がん。患者さんの十分な心の準備ができる前のことでもあり、早期の段階から丁寧にケアをしていく必要がある。また、血液がんでは治療による苦痛の緩和がより必要とされる。血液がんにおける緩和ケアと在宅医療の現況を紹介する。

問題を早期に同定し、適切に評価・対応

現代のがん医療では、治療の初期段階から緩和ケアに心掛けるという考え方が定着しつつある。その背景にはWHO(世界保健機関)における緩和ケアの定義がある。

1989年に緩和ケアが定義されたときは、「治癒を目指した治療が有効でなくなった患者に対する積極的な全人的ケアである」とされていたのに対し、2002年には、「生命を脅かす病に関連する問題に直面している患者と家族の痛み、その他の身体的、心理社会的、スピリチュアルな問題を早期に同定し、適切に評価し対応する」となった。

要するに、がんの場合には、病気が告知された時点から終末期まで治療を通じて、痛みなどの症状を和らげると同時に、精神的な部分にまで踏み込んで、患者さんが人生を積極的に生きていくことを支えるということだ。

最初の段階から丁寧にフォロー

そんな中でも、血液がんは治療による苦痛の緩和がより必要になるともいわれる。

そのあたりの背景を、慶應義塾大学病院看護部病棟師長(血液内科)の近藤咲子さんは次のように述べる。「血液がんの患者さんは、軽症で発病が分かった場合は、それほどの自覚症状がないにもかかわらず、告知のときには深刻な状態が伝えられ、すぐに治療が開始されることが多い。

このため患者さんは、ショックと戸惑いで事実をしっかりと受け入れる前に治療に入らなければならないのです。ですから、最初の段階から丁寧に支えていく必要があります。治療中には、もちろん治療の副作用の管理も必要ですが、こちらは他のがんと同様に、治療ごとに出やすい副作用は分かっているので対応してます」

治療開始時に冊子を配布

小冊子『血液疾患患者さんのための感染症予防とリハビリテーション』

また、血液がんの場合は、病気自体と化学療法などの治療と両方の要因で免疫力の低下が生じる。「このため、感染症予防や体力温存のためのリハビリテーション(以下リハビリ)について、治療開始時から繰り返し説明して実践していかなくてはならない」と近藤さんは話す。

そこで、病気が分かって治療に入るときに、同科では患者さんに『血液疾患患者さんのための感染症予防とリハビリテーション―よりよい体調で治療を継続さるために―』という小冊子を配っている(図)。

患者さんが治療効果を最大限に得るためには、決められたスケジュール通りに治療を進める必要があるため、治療に耐え得る体調管理が重要になってくる。

同冊子では、感染症を予防する大切さ、入院生活における手洗い、身の回りを清潔にすること、口腔内のケア、食中毒予防、皮膚や陰部、肛門などのケア、マスクの着用、外部からの面会者への対応について記している。

「もちろん、患者さんの病気の受け止め状況を見て、最初から多くのことを説明していくのではなく、段階的に進めていくことが重要です。また、退院後の自宅生活での注意事項などを事細かに解説しています」

リハビリをいち早く導入

リハビリについても、病状や治療による転倒や筋力低下を防ぎ、日常生活を支障なく送るための方法が詳しく説明されている。

「治療が一旦終わり経過観察している間も、感染予防とリハビリは継続していく必要があります。そうすることで、日常生活もできるだけ普通に送れるようになります」

同科では、2001年からいち早くこのようなリハビリを実施している。「例えば病気が進行した場合、体調が悪いからと寝たきりのままでいると廃用症状が発現し、感染も起きやすくなります。それを未然に防ぐためのリハビリなのです。廊下を歩くだけでもいいですし、身の回りのことを人に頼まず自分でやるということだけでもリハビリになるのです」

〝チーム血液〟の充実で 在宅医療を促進

同院の血液内科は、患者を中心に据え、医師、看護師、リハビリ医、理学療法士、精神科医、歯科医、衛生士、薬剤師、栄養士など各スタッフがそれぞれの役割を担って治療に当たる。「私たちは、これを〝チーム血液〟と呼んでいます。チーム医療が一番進んでいるのが血液がんだと思います」(近藤さん)

そして、この〝チーム血液〟に外部の医療従事者(在宅医療の医師や看護師、ケアマネージャーなど)も加えた形を円滑に進めていきたい、というのがここ数年の課題だ。特に、他のがんに比べて、在宅医療が難しいと言われる血液がんの患者さんにも、在宅での療養を可能にしたいと考えている。

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