肝・胆・膵がんの基礎知識 新しい化学療法など治療選択も多い
監修●森実千種 国立がん研究センター中央病院肝胆膵内科医員
取材・文●「がんサポート」編集部
病期(ステージ)について語る際に肝臓、胆道、膵臓を合わせて「肝胆膵領域」として論じられることが多い。いずれも近接する臓器だが、がんに着目すると、関連すること、個別に考えなければならないことなど様々だ。その基本を聞いた。
肝がんガイドライン 診断法、手術、分子標的薬も登場――
監修●國土典宏 東京大学大学院医学系研究科外科学専攻肝胆膵外科学・人工臓器移植外科学分野教授
取材・文●黒木 要
第2版の『肝癌診療ガイドライン』が出版されて4年。その作成後にも新たなエビデンス(科学的根拠)が数多く登場。それらの成果を反映した第3版が近々刊行される。その内容は、肝がん治療にどんな変化をもたらすのだろうか――。
膵がんガイドライン 手術可能なケース、進行がんのケースともに、治療薬の選択が大きく変わる
監修●奥坂拓志 国立がん研究センター中央病院肝胆膵内科科長
取材・文●平出 浩
膵がんのベストの治療法は何か。臨床試験などのエビデンス(科学的根拠)をもとに、これら標準治療を明記しているのが、『膵癌診療ガイドライン』(日本膵臓学会)だ。定期的に見直されるこのガイドラインは、いま世界中で続々と明らかになっている膵がん薬物治療の新しい臨床試験結果を反映して、大きく変わろうとしている。期待の試験結果とともに紹介しよう。
膵がん術前補助療法 進行がんの予後を大きく向上させる期待の効果が明らかに
監修●高橋秀典 大阪府立成人病センター消化器外科副部長・膵臓外科チーフ
取材・文●植田博美
膵がんの手術は体への負担が大きく、術後の再発や転移も多い。そこで、がんそのものだけでなく再発しやすいとされる周辺部位にも放射線を照射し、同時に抗がん薬治療も行う「術前化学放射線療法(術前CRT)」が注目されている。この治療を2002年から行い、300例の実績をもつ大阪府立成人病センター消化器外科の高橋秀典さんに話を聞いた。
膵がん腹膜播種治療 腹腔内に抗がん薬を直接注入。第3相試験へ発展も
監修●伊佐山浩通 東京大学大学院医学系研究科消化器内科学准教授
取材・文●柄川昭彦
これまで、治療のオプションが少ないとされてきた膵がん。とりわけ、腹膜播種を起こしたとき、治療法は更に厳しくなる。東京大学附属病院では、胃がんの腹膜播種に対し、腹腔内に抗がん薬を直接投与することで治療効果を高めている。これを、膵がんの腹膜転移にも応用する試みがなされている。
『胆道癌診療ガイドライン』が6年ぶりに改訂
監修●宮崎 勝 千葉大学大学院医学研究院臓器制御外科学教授
取材・文●黒木 要
胆道がんは、患者さんの数が少ないがゆえに、治療に関するエビデンス(科学的根拠)も少ない。今回、そんな胆道がん治療の拠り所となる『胆道癌診療ガイドライン』が6年ぶりに改訂される。それを受けて胆道がんの標準治療はどう変わるか――。
がんと食事 肝・胆・膵がんの食事
監修●高嶋浩子 国立がん研究センター中央病院栄養管理室
取材・文●山下青史
肝・胆(道)・膵がんの治療後の食事では、消化管への侵襲や残存機能の程度、合併症によって食事の内容は異なる。膵がんの治療後は進んで栄養士に相談するようにしよう。