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肝・胆・膵がんの基礎知識 新しい化学療法など治療選択も多い 解剖学的には近接 がんの観点からは類似点と相違点が

監修●森実千種 国立がん研究センター中央病院肝胆膵内科医員
取材・文●「がんサポート」編集部
発行:2013年10月
更新:2019年9月

  

国立がん研究センター中央病院肝胆膵内科医員の森実千種さん

病期(ステージ)について語る際に肝臓、胆道、膵臓を合わせて「肝胆膵領域」として論じられることが多い。いずれも近接する臓器だが、がんに着目すると、関連すること、個別に考えなければならないことなど様々だ。その基本を聞いた。

肝臓、胆道、膵臓はどのような関係にあるのですか?

■肝臓・胆道・膵臓の位置関係

肝臓は、右上腹部にある人体で最も大きな臓器で、成人で800~1,200gにもなります。

その主な役割は、①糖質、タンパク質、脂質の代謝や合成②アルコールや毒物、薬物の解毒と排泄③脂肪の消化吸収を助ける胆汁の産生が挙げられます。

胆道は肝臓で作られた胆汁の通り道である胆管(肝内胆管、肝外胆管)、胆汁を一時的にためておく胆嚢、胆管が十二指腸に流入するところで胆汁(及び膵液)の流れを調節するファーター乳頭からなります。

膵臓は肝臓の下側、胃の裏側にあり、消化液(膵液)をつくる(分泌する)役割と血糖値を調節するインスリン等のホルモンを産生・分泌する役割があります。

がんに共通点はある?

■肝臓病の進行

これら3つの臓器は解剖学的には近いのですが、がんができたときの対応の仕方となると、一概に近いとは言えません。

胆道がんと膵がんは、いくつかの共通点があります。使用する抗がん薬の種類に共通なものがある、腫瘍により胆汁の流れ道が塞がれることで起こる閉塞性黄疸という症状が出やすい、手術も複雑で難しいことが多く、一部同じ術式が用いられる――などの点です。発見が難しいことも胆道がんと膵がんの共通点かもしれません。

ただし、胆道がんができたから膵がんできやすいとか、胆道がんと膵がんが同時多発的に起きやすい、ということはありません。

■黄疸や胆管炎に対する処置(ドレナージ)

それぞれのがんの特徴は?

肝がん
慢性肝炎が背景に再発の可能性が大

原発性肝がん(肝臓に発生するがん)のうち、肝細胞がんが90%を占め、肝炎ウイルスやアルコール、脂肪肝による慢性肝炎もしくは肝硬変が背景にある場合が多いです。

発見されたがんを一時的に完全にやっつける(取り除く)ことができても、後日また別の場所(部位)にがんができてしまう、という具合に再発を繰り返す可能性が高いがんです。

また、肝臓は他の臓器に発生したがんの転移先の臓器として有名で、「大腸がんの肝転移」や「膵がんの肝転移」といったように、他の臓器に発生したがんが肝臓に転移した場合には "転移性肝がん" と呼びます。転移性肝がんの場合、治療は最初に発生した部位(原発巣)での治療戦略に沿って進められます。

肝細胞がんの罹患数は約4万人(2006年)で、国を挙げての肝炎対策のおかげもあり、低下傾向にあります。

胆道がん
胆汁の流れを良くする「ドレナージ」がカギ

胆道がんは、胆管や胆嚢などの部位別にみるとそれぞれのがんの患者さんの数はとても少なくなるので、総称して胆道がんと呼ばれ、治療開発が行われています。

胆管がんは胆汁の流れが腫瘍で塞がれて黄疸が起こる閉塞性黄疸を起こしやすいため、胆汁の流れを再開させるドレナージという処置が必要です。胆汁の流れが悪いと胆管炎を繰り返し、がん治療自体が進められなくなることもあるので、このドレナージは非常に重要です。

発見の端緒は、腹痛や黄疸ということが多いです。罹患数は年間約2万で、ほぼ横ばいです。

膵がん
早期発見が難しく痛みや糖尿病を合併しやすい

■膵臓と膵液の流れ

膵がんの90%以上は、膵管の細胞にできます。膵臓は横に細長い臓器で、膵管は膵臓を網目のように走っています。

早期発見が難しくて進行が速く、約8割が手術できない状況で見つかります。また、手術しても約8割が再発するといった難しいがんです。糖尿病を合併することも多く、消化液の膵液が少なくなると、消化不良を起こして下痢や体重減少などを起こすこともあります。

主な症状として背中の痛みや腹部の痛みが挙げられますが、近年はよく効く痛み止め(鎮痛薬)もたくさん出ています。罹患数は年間約2万3,000人で、横ばいから少しずつ増加傾向です。

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