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2017_nov_i

緩和ケアの基礎知識―目の前の医療者に、苦痛や悩みを話してみよう―

監修●竹井清純 日本赤十字社医療センター緩和ケア科副部長

日本人の気質ゆえか、痛みを口に出さず耐え続けるがん患者が多い。痛みを我慢し過ぎると、痛みを司る神経が敏感になり、同程度の痛みをさらに強いものに感じてしまうようになる。医療の進歩で、現在は痛みのコントロールが可能になった。つらいときは「つらい」、痛いときは「痛い」と、勇気を出して医療者に伝えよう。

自宅には、家族との〝生活〟があり、その人の〝日常〟がある

監修●木俣有美子 わたクリニック副院長

がん治療中に痛みや苦しみを感じたら、病院の地域医療連携室を訪ねて相談してみてはどうだろう。緩和ケアは病院でしか受けられないわけではない。自宅近くの診療所もある。在宅医療のクリニックもある。在宅で緩和ケアを受けるという選択もできるのだ。

ACPを繰り返して、患者との信頼関係を構築

監修●市川靖子 帝京大学医学部附属病院腫瘍内科講師

近年、抗がん治療は急速に進歩。がん薬物療法の効果も目を見張るほど発展し,選択肢も着実に増加している。それに伴い課題も増えてきており、「いつまで、どこまでがん薬物療法を行うか」もその1つとなっている。診断早期からの緩和ケアの導入が延命やQOL(生活の質)の改善に役立つとの報告がある一方で、積極的治療を中止し、完全なBSC(ベスト・サポーティブ・ケア)への移行をいつ行うべきかという判断目安やそれに関するガイドラインは今のところ存在しない。実臨床において、いつまで薬物療法を行うべきなのかを判断することは、患者および医療者のいずれにとっても難しい問題となっている。この課題に対する医療者側からみた見解をうかがった。

患者の孤独感や不安にも配慮して適切な対処を

監修●谷口彩乃 京都府立医科大学疼痛・緩和医療学教室

「ケミカルコーピング」という言葉をご存じだろうか。この場合ケミカルは「薬物」、「コーピング」は「対処法」を指し、詰まるところ「薬物による対処法」という意味になる。がん疼痛の緩和を目的に処方されるオピオイド鎮痛薬(医療用麻薬)を、患者が不安や不眠といった精神的苦痛を解消するために使用することを言い、乱用や依存の前段階と考えられている。

1995年にアメリカのE.Bruera教授らが初めて提唱した比較的新しい概念で、まだ国際的な定義はない。国内の医療者の間でも十分に認知が広まっていないのが現状だという。ケミカルコーピングに詳しい京都府立医科大学疼痛・緩和医療学教室の谷口彩乃さんに話を伺った。

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