監修●加藤 健 国立がん研究センター中央病院消化管内科医長
進行・再発食道がんに対する化学治療において、大きなトピックがある。2019年1月、解析終了した「ATTRACTION-3」という臨床試験の成績結果、免疫チェックポイント阻害薬の*オプジーボ(一般名ニボルマブ)が、2次治療において、従来のタキサン系の抗がん薬に対し有意に全生存期間(OS)を延長したことから、5月に承認申請が行われた。「ATTRACTION-3」試験と、今後の食道がんの化学療法の展望について、国立がん研究センター中央病院消化管内科医長の加藤健さんに伺った。
監修●浜本康夫 慶應義塾大学医学部腫瘍センター副センター長
ステージ(病期)ⅡとⅢ(T4を除く)の食道がんに対し、根治をめざす治療としては、化学療法を行ったあとに手術をする術前補助化学療法が標準治療とされている。そして、手術が難しい場合や希望しない場合には、抗がん薬と放射線を併用して行う化学放射線治療が選択肢となっている。
そんな中、放射線の線量を少なくした化学放射線治療を行い、それでもがんが残ったり、再発した場合には、手術などの救済(サルベージ)治療を行う治療戦略の臨床試験が行われ、好成績が得られた。この治療法の位置づけと今後の可能性について、慶應義塾大学医学部腫瘍センター副センター長の浜本康夫さんに伺った。
監修●太田喜洋 東京医科大学消化器外科・小児外科医局長
2018年4月、ロボット支援下手術である「ダヴィンチ」による手術が消化器領域でも保険適用になったことは大きなニュースだった。とくに周囲に心臓、肺という重要な臓器や大動脈などの血管や神経が密集する食道がんの手術では大きなメリットだ。そのダヴィンチによる食道がんの手術を、2010年より先駆けて実施してきた東京医科大学病院消化器外科・小児外科医局長の太田喜洋さんにその現状、メリットなどについて伺った。