治療ガイドライン2016に沿って薬物療法の分野を解説
監修●吉野孝之 国立がん研究センター東病院消化管内科長
『大腸癌治療ガイドライン医師用2016年版』が昨年(2016年)11月に発刊された。今回は薬物療法の分野で改訂が行われ、新規薬剤や新たな併用療法の追記がされた。今後ますます個別化医療が進む進行再発大腸がん治療。ガイドラインの内容を読み解きながら、治療の進め方について専門家に話を聞いた。
ICG蛍光法を導入した手術の安全性と根治性を高める取り組みも始まる
監修●渡邉 純 横浜市立大学附属市民総合医療センター消化器病センター外科講師
体に優しい術式として、広く行われるようになってきた大腸がんの腹腔鏡下手術。最近では技術がさらに進化し、傷口が1つで済む単孔式腹腔鏡下手術の取り組みも行われている。低侵襲化が進む大腸がんの腹腔鏡下手術の最新情報をレポートする。
肝転移患者への肝動注化学療法の活用
監修●石川敏昭 東京医科歯科大学大学院総合外科学分野(医学部附属病院腫瘍化学療法外科)准教授
大腸がんが最も転移しやすい臓器の一つ肝臓。手術不能例や他臓器にも転移がみられるケースでは全身化学療法が行われるが、肝転移による重症肝障害患者では、多剤併用全身化学療法が困難な症例が多くみられる。そこで考案されたのが、5-FUを用いた肝動注化学療法を全身化学療法への移行を目的としたレスキュー(救済)肝動注。あくまで橋渡し的な治療法だが、高い治療効果が認められている。その内容について専門家にうかがった。
治療薬の効果にも差が
監修●砂川 優 聖マリアンナ医科大学臨床腫瘍学講座准教授
昨年の米国臨床腫瘍学会(ASCO2016)で注目された話題の1つが「大腸がんの原発部位(左右)により予後に大きな差が認められる」という研究報告。
日本でもこの左右差に関する研究は行われており、日本人患者においても同様な傾向の認められることが確認されている。原発部位の違いによる予後への影響とは? さらにこのことが治療にどのような影響を及ぼすのかを専門家に聞いた。