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~むくみの原因と対処法~なぜむくみ、どうすればむくまないのか

「挙上」「圧迫」「肥満防止」がリンパ浮腫治療の3本柱

監修●廣田彰男 広田内科クリニック院長
取材・文●菊池亜希子
(2017年12月)

「どれほど重症化していても、リンパ浮腫は適切なケアと治療で必ず改善できます」と語る廣田さん

がんの手術でリンパ節を切除することは多いが、その副作用であるリンパ浮腫はあまり注目されてこなかった。命に別状はないからと放置され、どれほど多くの人がむくみに悩み苦しんできたことか。放っておくとむくみ続けるが、正しい知識を持って、段階に応じたケアをすれば、確実に改善する。まずは知ることから始めよう。

脇道では間に合わなくなったときが問題

乳がんや子宮がん、前立腺がんなどの手術でリンパ節を切除すると、後に、片側の腕や脚にむくみが生じることがある。これが、がん治療の副作用で起こる「リンパ浮腫(ふしゅ)」。命に関わらないからと軽視されがちだが、放っておくとむくみは巨大化し、著しいQOL(生活の質)の低下を招く。

そもそも、リンパ節を障害すると、なぜリンパ浮腫が起きるのだろうか。

本来、心臓から送り出された血液は、動脈を通って全身の毛細血管に流れ、毛細血管から血液の一部とタンパク質が皮下に滲み出して、栄養分として体内に取り込まれる。その際、残った水分は静脈へ、タンパク質はリンパ管へ吸収され、心臓に戻る前には静脈に合流する。これが正常な血液の流れだが、手術でリンパ節を切除してしまうと、体内に取り込まれずに残ったタンパク質がリンパ管へ吸収されきれず、皮下線維の隙間に溜まり、水分を吸い寄せてむくむ。これが「リンパ浮腫」だ。

ただし、「リンパ節を郭清(かくせい)したら必ずリンパ浮腫になる、というわけではありません」と広田内科クリニック(東京都世田谷区)院長の廣田彰男さんは話す。

「リンパ節を切除しても、すぐそばに新しいリンパ管(新生リンパ管)ができて、タンパク質を心臓に戻そうとします。道路を走る車を想像してください。事故で通れない場所があったら、じっと待たずに脇道(側副路)を探して迂回します。それと同じことが体内でも起きるのです。通常のリンパ管の流れを100とした場合、新生リンパ管(脇道)は60しか流れないと考えるとわかりやすいかと思いますが、何とか流れていれば大丈夫。問題は、脇道では処理し切れなくなって、渋滞が起きたときです」(図1)

渋滞すると、リンパ管内のタンパク質が行き場をなくして皮下に滲み出し、水分を引き寄せてむくみ始める。リンパ節郭清をした人で、リンパ浮腫になる確率は、脚が20%、腕が10%ほどだそうだ。つまり、多くの人は脇道(新生リンパ管)を使って渋滞を起こすことなく生活できている。とはいえ、リンパ節郭清術を受けた人は、たとえむくんでいなくても、常にリンパの流れが悪く、渋滞を起こすか起こさないかのギリギリの状態であることは否めない。いつ、何をきっかけにむくみ始めるかわからないのだ。実際、術後10年以上経ってからむくむことも珍しくないという。

ここでリンパ浮腫の経過段階(ステージ)に触れておく。

軽いむくみを感じるが、見た目にはそれほどわからない状態がステージⅠ。皮膚は本来の柔らかさを保ち、指で押すとへこむ。夜にはむくんでも、挙上(きょじょう)して眠れば、朝にはほぼ改善しているのがこの段階。

ステージⅡになると、見た目にもむくみが明らか。皮膚が柔らかさと弾力を失い、指で押してもへこまなくなる。さらに進行してステージⅢに移行すると、大きくむくみ、変形したり、皮膚表面が角化する。象の足のようになってしまうことから〝象皮病〟とも呼ばれる(図2)。

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