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早い段階で湿疹とがんを見分けられる専門医を受診しよう
見せにくい場所の外陰がん、膣がんの正しい治療

監修:瀧澤 憲 癌研有明病院レディースセンター長・婦人科部長
取材・文:池内加寿子
発行:2007年10月
更新:2013年4月

  
瀧澤憲さん 癌研有明病院
レディースセンター長・
婦人科部長の
瀧澤憲さん

「外陰がん」「腟がん」ともにあまり耳慣れないがんです。また、不快な症状があっても、場所が場所だけに、気軽に受診できません。
今回は、この稀少な2つのがんについて、婦人科がん手術の名医として知られる癌研有明病院レディースセンター長の瀧澤憲さんに、そのアウトラインと治療法を解説していただきました。


外陰がんと腟がんはまれながん

癌研有明病院婦人科は、子宮頸がん・体がんなど婦人科がんの患者数、手術数が大変に多いことで知られていますが、同部長の瀧澤憲さんは、外陰がん、腟がんについてこう説明します。

「外陰がん、腟がんともに婦人科がんの中では非常にまれながんです。当院の婦人科がんの患者さんは年間370名ほどですが、そのうち外陰がんは5~6名、腟がんは2~3名とごく少数です。2006年の子宮頸がん(210名)と比較すると、外陰がんは約2.5パーセントで、腟がんはその半分。一般の総合病院では2、3年にひとりというところも多いです」

それだけに、産婦人科医でもこれらのがんの経験がない医師もあり、発見や治療が遅れることがあるといいます。

外陰と腟の範囲

[図1 外陰部の構造]
図1 外陰部の構造

「外陰とは腟入口部(腟の入り口)の外側をさします。がんが腟入口部の内側にあれば腟がん、外側にあれば外陰がんとなります」(瀧澤さん・以下同)

腟は長さ7~8センチの筒状組織で子宮につながり、出産時には産道となります。腟の入り口周囲には腟前庭、その外側には小陰唇、陰核(小陰唇の交差部)、大陰唇、会陰(腟から肛門に至る間の部分)があり、総称して外陰と呼ばれています(図1参照)。

「尿道(尿の出口)は腟前庭にありますが、普通は、尿道粘膜から発生した尿道原発のがんなら泌尿器科、肛門から発生した肛門がんや直腸がんは消化器外科で担当するのが基本です。ただ、患者さんが婦人科を受診した場合は、婦人科で扱うケースもあり得ます」

外陰がんの好発年齢、気になる症状

外陰がんは若い人には少なく、発症年齢はおおむね55歳以上、70~80代の方も珍しくないそうです。

「外陰がんが発生しやすい部位は小陰唇と大陰唇の中間部です。小陰唇の外側から大陰唇の内側にかけての毛のまばらな部分に発生することが多く、腟前庭や、大陰唇の毛が密な部分にできることは少ないですね。片側性といって、片側にできるケースがほとんどです。しこりや湿疹などの症状が出て患者さんが気づくケースが約9割で、子宮頸がん検診等で発見されることはあまりありません」

外陰がんの種類、症状、診断

外陰がんには、がん細胞の性質によっていくつかの種類があります。扁平上皮がんがもっとも多く、5割以上を占めています。症状としてよくみられるのは外陰部のしこりで、ビー玉や大豆のような感触です。大きさはさまざまで、不正出血を伴う場合や、黒っぽく見えることもあります。

次に多いのは、皮膚の表層にできるパジェット病という皮膚がんの一種です(2割程度)。パジェット病は外陰がんのなかではもっとも進行が遅く浸潤しにくいので、手術で治りやすいがんです。主症状はかゆみを伴う赤い発疹ですが、産婦人科や皮膚科でも慢性湿疹に間違われやすく、ステロイド軟こうで一時的に好転するため、数カ月から数年、診断や治療が遅れることがあるそうです。

外陰は、悪性度が高いホクロのがんといわれるメラノーマ(悪性黒色腫)の好発部位でもあり、5~10パーセントはこのタイプです。このほか、バルトリン腺がん、その他もみられます。

「外陰部のしこりや黒ずみなどの症状が現れるものには、がん以外にもいろいろな病気があります。毛嚢に感染が起きてセメント質状に固まったエピダーマル・インクルージョンシストや、血管腫、リンパ管腫、性感染症の尖圭コンジローマという病気も多いです。これらの病気と鑑別し、がんかどうか診断するためには、視診、触診、細胞診のほか、組織をミリ単位で少し採取して顕微鏡で調べる生検(バイオプシー)が必要です」

外陰のしこりや湿疹がいつまでも治らないとか症状が強くなってくるときは専門医に相談しましょう。生検は外来でできますが、採取時に局所麻酔を行い、採取後2、3針縫合します。忙しい病院や、外陰がんの経験が少ない産婦人科、皮膚科等では生検まで行わないこともあるので、気になるときは「がんかどうか調べてください」と患者側から申告するとよいそうです。

外陰がんの治療は手術が基本

「外陰がんの治療は手術が基本ですが、状況によって放射線治療を加えることもあります。腫瘍の最長径が2センチ以下の場合やパジェット病なら、手術でほとんど治癒します」

手術の術式には、縮小手術(「拡大腫瘍切除」「単純性外陰切除」)、拡大手術(「広汎性外陰切除」+「筋皮弁移植」)、あるいはこれらの方法と放射線との組み合わせなどがあり、がんの性質や病期、腫瘍の大きさ、年齢などを考慮して選択されます。

病期と治療法

扁平上皮がんの場合、病期は0期から4b期まで7段階に分かれています(表1参照)。0~1b期(腫瘍の最長径が2センチ以下)では、縮小手術(「拡大腫瘍切除」または「単純外陰切除」)が行われます。0期(上皮内がん)の場合は、レーザー手術という選択肢もありますが、病変部全体の病期判定が難しくなるため、メスによる切除手術が基本です。

2期の治療法は、腫瘍の大きさや患者さんの年齢によって、術式の選択に幅があり、病院によっても異なります。

「以前は、腫瘍径が2センチを超えると拡大手術(広汎性外陰切除)が行われていましたが、組織の欠損が大きく、筋皮弁移植による再建が必要となるのでQOLも下がります。当院では、QOL(生活の質)や年齢を考慮して、2期で腫瘍径3~4センチまでは術後照射(総線量50グレイ程度の外照射)を加えることを条件に、移植の必要のない縮小手術を行うこともあります」

3~4期でがんが尿道や肛門に浸潤しているときは、広汎性外陰切除に加えて、膀胱、尿道、直腸、肛門の切除術も行います。そして、泌尿器科医による回腸導管造設術(回腸で尿の出口をつくる)や、消化器外科医による人工肛門造設術などが行われることもあります。年齢的に大手術が負担になる場合は、状況によっては、放射線単独または放射線と化学療法の併用、あるいは動注化学療法も選択肢となります。

扁平上皮がん以外のがんの場合も、これに準じます。

[表1 外陰がんの病期分類(FIGO,1998年)]

0期   上皮内がん
1期 1a期 腫瘍は外陰または会陰に限局し、最長径2センチ以下で、間質浸潤の深さが1ミリ以下のもの。
リンパ節転移は認めない
1b期 腫瘍は外陰または会陰に限局し、最長径2センチ以下で、間質浸潤の深さが1ミリを超えるもの。
リンパ節転移は認めない
2期   腫瘍は外陰または会陰に限局し、最長径2センチを超えるもの。リンパ節転移は認めない
3期   腫瘍はいかなる大きさでもよく、(1)下部尿道、腟または肛門への隣接蔓延、
あるいは(2)片側所属リンパ節転移のあるもの
4期 4a期 腫瘍が上部尿道、膀胱粘膜、直腸粘膜または骨盤骨を侵すか、
あるいは両側所属リンパ節転移のあるもの
4b期 骨盤リンパ節転移を含む遠隔転移

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