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再発・転移の基礎知識:まずは知ること 再発・転移はこう起きる、そしてこう対処する

監修●吉田和彦 東京慈恵会医科大学葛飾医療センター副院長
取材・文●「がんサポート」編集部
発行:2013年5月
更新:2019年11月

  

東京慈恵会医科大学葛飾医療センター副院長の吉田和彦さん

局所にできたがんを取り除いても、患者さんを常に不安にするのが、「再発・転移」だ。どのような仕組みで起こるのか、どのようながん種に多いのか、対処するにはどのような方法があるのか――。

Q1  「再発」「転移」ってなに?

■再発転移に関する用語

原発がん 最初に発生したがん
領域がん 原発巣近くのリンパ節や周辺の組織・臓器に浸潤したがん
転移がん 原発巣とは別の臓器に浸潤・転移したがん
局所再発 最初に治療した場所に再度発生する
領域再発 原発巣近くのリンパ節や臓器に発生する
遠隔(全身)転移・遠隔再発 原発巣と離れた別の臓器に転移したり再発する

浸潤=がん細胞が周囲の細胞にしみこむように広がっていく

がんの治療の目標は、①根治②延命③緩和です。すべて根治のシナリオが描ければよいのですが、残念ながら患者さんの半数弱は再発し、命を落とすことになります。

再発とは「がんを治療した後に、再び生じること」、転移とは最初に発生した場所(原発巣)とは別場所に移ること」を言います。再発がんには局所・領域再発と遠隔再発があります。また、既に遠隔転移を有する病期IVの進行がんの場合、一度治療に反応してがんが縮小あるいは消失することがありますが、再び大きくなった場合、「再燃」と呼ぶことがあります。

局所・領域再発の場合には、再手術や放射線治療で再度根治を目指せる場合があります。一方、遠隔臓器へ再発した場合には再度根治することは困難です。

外科手術も放射線治療も進歩しましたので、原発巣に関しては高いレベルでのコントロールが得られるようになりました。一方、遠隔転移を根治する治療法はほとんどなく、がん治療に残された大きな障害と言えます。

Q2 再発・転移はどうして起こるの?

■がんが転移する模式『がんが転移・再発したときすぐに知りたいQ&A』
(矢沢サイエンスオフィス編、吉田和彦、中川雅史執筆・監修)や、
吉田和彦氏への取材を基に作成

手術可能ながんの治療目的は、原発巣とその領域リンパ節を取り除き、がん細胞をゼロに近づかせることにより、根治させることです。しかし、目に見えないがん細胞が生き残っている場合(微小転移)、数カ月から数年をかけて、増殖し、再発巣が生じます。

実際は、原発巣から離脱し、血管やリンパ管を浮遊するがん細胞は多いのですが、途中、その多くは免疫細胞による攻撃を受けたり、着床するのに必要な能力が備わっていなかったりで、実際に遠隔臓器で増殖する細胞は少数です。

しかし、がんはひとつの病気ではではなく、「150種類以上の病気の総称」と表現されるように、それぞれのがんにより、再発や転移のパターンは異なります。さらに、同じがんであっても、患者さんに

よりがん細胞が異なり、高い多様性をもつと考えられています。

Q3 再発・転移しやすいのはどんながん?

■転移または再発しやすいがん

他の組織や臓器に転移・浸潤しやすいがん
がんの種類 転移・浸潤先の部位
乳がん 肺、肝臓、脳、骨
骨肉腫 肺、肝臓、脳、骨
卵巣がん 子宮、大網、大腸、腹膜
膵臓がん 十二指腸、胆管、肝臓、血管、神経、腹膜
メラノーマ リンパ節
スキルス胃がん 腹膜
再発しやすいがん
肝がん、膵がん、食道がん、膀胱がんの一部、直腸がんの一部

成長がゆっくりで転移しにくいがんがある一方で、早期から転移しやすいがんもあります。

転移しやすい遠隔臓器も原発巣によりことなります。一般的遠隔転移しやすいのは、リンパ節、肝臓、肺、骨、脳、胸膜、腹膜などです。

転移したがんは原発巣の臓器名で呼ばれます。たとえば大腸がんが肝臓に転移した場合には、「大腸がんの肝転移」となります。これは肝臓を原発巣とする肝がんとは性質が異なり、治療法も違ってくるためです。

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