『がんサポート』創刊10 周年記念企画
第1回 闘病記「深見賞」授賞式が行われる
去る11月1日、東京・神田淡路町の「ホテルマイステイズ御茶ノ水」で、『がんサポート』創刊10周年記念企画 がん闘病記「深見賞」の授賞式が行われました。会場には審査委員長を務めた鎌田實さん、「今日を生きる」で深見賞を受賞した札幌市の渡辺禎子さん、「夫婦でがん」で佳作を受賞した奈良県の西山きよみさんが駆けつけ、授賞式は和やかな雰囲気で進行しました。
１７７編の応募作品のすべてに謝意を
午後5時30分、授賞式が始まりました。冒頭、『がんサポート』編集・発行人の深見礼子が挨拶に立ち、この10年間のご支援に対する謝辞を述べながら、「がん闘病記大賞」の企画が、今年2月に盲腸がんで急逝した前編集・発行人の深見輝明の発案だったことを明かしました。
そして、１７７編の応募があったことを紹介し、創刊以来ボランティアで『がんサポート』をサポートしている鎌田實さんに審査委員長を務めていただいたことにも、深い感謝を表しました。
さらに、大賞の「深見賞」を受賞した渡辺禎子さん、佳作の西山きよみさんが、遠方から授賞式に駆けつけてくださったことに御礼を申し上げるとともに、欠席された優秀賞の有久園子さん（山口県防府市）、上村恭子さん（東京都）、佳作の小西雄三さん（ドイツ・ミュンヘン市）から届いたメッセージなどを紹介しました。
次いで、応募者の内訳は、女性70％、男性30％、年代別では50代32％、60代28％、以下70代、30代、80代、20代と続いたこと、がん種別では乳がん33％、大腸がんが13％、以下血液がん、肺がん、子宮・卵巣がん、胃がんとなっていたことが発表されました。
深見編集人は最後に、「ふだんからがん闘病記を読む機会が多いが、患者さんは闘病記を書くことによって癒やされたり、がんと闘う自分自身を振り返るよい機会になっているのではないか」との感想を述べ、『がんサポート』は今後とも、がん患者さんをサポートする企画を取り上げていきたいと決意を語りました。
次に審査委員長の鎌田實さんが総評を行いました。
鎌田さんは、10年前、諏訪中央病院に深見前編集長が協力の要請に来たとき、「エビデンスのはっきりしていないものは取り上げない」という深見氏の志の高さ、情熱の深さに打たれてボランティアでの協力を快諾したこと、この10年間協力している間に、がん患者さんの声を直接聞いたり、著名なタレントさんとの縁ができるなど、自分にも得るものがあったことを披瀝されました。
そして創刊10周年を迎えた『がんサポート』は、志半ばでがんに倒れた深見前編集長の遺志を継いで、より良いがん治療の実現に寄与していかなければならないと力説され、自分も微力ながら応援していきたいと決意を表明されました。
作品の選考に当たっては、文章力よりがんと闘う人にとってヒントになる作品を選んだと、選考基準を明らかにされました。
（このあと深見賞以下、入賞作品５作品について短評されましたが、11月号の「闘病記『深見賞』決まる！」の記事と重複しますので、割愛します）
創刊11年スタート 新たな決意を胸に
そして、最後に渡辺さんと西山さんに、鎌田さんより表彰状と目録が授与されました。鎌田ファンという渡辺さん、西山さんの満面の笑みがとても印象的でした。付記しておきますと、応募者全員に対して、鎌田さんの自筆サイン入り、新刊『○に近い△を生きる』（ポプラ新書）が贈呈されています。
最後に渡辺さん、西山さんが御礼の挨拶をされました。
渡辺さんの言葉――「晩年にこのような賞をいただきまして、本当に幸せです。人生にはいろんなことがあるものだと思っています。闘病中の皆さまにも、必ず良いことがあると思いますので、何とか乗り越えていただきたいと思います」
西山さんの言葉――「60歳過ぎてがんになり良かったとは言いませんが、がんにならなかったら、こういう体験はできなかったと思います。がんになって非常に貴重な体験を致しました。たくさんの人に出会えて、勇気と元気をいただきました。亡くなられた深見編集長が“エンジョイヤー”（生楽者）という考え方を提案されていました。私にぴったりの言葉です。がんになって、たとえ治らなくても、一生懸命生きる。私はまだまだ楽しいことがいっぱいあると思って、一生懸命生きていくつもりです」
最後に編集・発行人の深見が、「今日を11年目のスタートとして、がんばっていきたいと思います。本日はありがとうございました」と謝辞を述べ、第1回「がん闘病記・深見賞」の授賞式は終了しました。
