鎌田 實「がんばらない&あきらめない」対談

政治も健康も「あきらめない」精神でがんばりたい 小沢一郎 × 鎌田 實

撮影●板橋雄一
構成/江口 敏
発行:2015年9月
更新:2019年7月

  

甲状腺がん、狭心症を乗り越え日本の政治をリードしてきた男の「あきらめない」精神

かつては自民党幹事長、民主党代表として永田町をリードした小沢一郎さんも、すでに73歳。議員2年目には甲状腺がんの手術を、次期首相最有力と見られていたときには狭心症の治療を受けながら、政治の表舞台を歩いてきた小沢さんに、鎌田實さんが「日本はどうなるのか」を単刀直入に聞いた。

小沢一郎さん「いまの日本の状況は、僕が大変なのでなく皆さんが大変なんですよ」

おざわ いちろう
1942年、岩手県出身。慶應義塾大学経済学部卒業。1969年、父・佐重喜氏の後を継いで衆議院議員に初当選。以来、当選16回。自治大臣、内閣官房副長官(竹下内閣)を経て、海部政権当時、自民党幹事長。1993年、自民党を離党し新生党を結成、非自民の細川内閣成立の立役者となる。その後、新進党、自由党を結成し、自自連立政権を担った。2003年、民自合併により、民主党に合流し、副代表、代表、幹事長などを歴任。2012年、民主党を離党。その後、「国民の生活が第一」、「日本未来の党」、「生活の党」などを結成し、現在、「生活の党と山本太郎となかまたち」共同代表
鎌田 實さん「小沢さんには、自民対立軸としての野党をまとめる重責を担ってもらわねば」

かまた みのる
1948年、東京に生まれる。1974年、東京医科歯科大学医学部卒業。長野県茅野市の諏訪中央病院院長を経て、現在諏訪中央病院名誉院長。がん末期患者、高齢者への24時間体制の訪問看護など、地域に密着した医療に取り組んできた。著書『がんばらない』『あきらめない』(共に集英社)がベストセラーに。近著に『がんに負けない、あきらめないコツ』『幸せさがし』(共に朝日新聞社)『鎌田實のしあわせ介護』(中央法規出版)『超ホスピタリティ』(PHP研究所)『旅、あきらめない』(講談社)等多数

初当選1年後に甲状腺がん 国会議員の辞職も覚悟!

鎌田 本日(7月15日)は衆議院の特別委員会で安保法制の強行採決が行われますが、小沢さんに、ご自身の若いときのがん闘病のお話とともに、これからの日本はどうなるのか、現在の政治をどう考えているのか、といったこともうかがいたいと思います。

小沢さんは1969年に弱冠27歳で初当選され、その翌年に甲状腺がんになられていますね。ご自身で首のしこりを見つけられたとか。

小沢 なんかの拍子に首を触ったら、何かコロコロするものがあって、扁桃腺にしては脇のほうだし、変だなと思って、近所のお医者さんに診てもらったら、「いや、大したことはないでしょう」と言われたんです。しかし、いつまで経ってもコロコロが治らないもんだから、従兄弟がいた東北大病院で診てもらい、コロコロをとって、良性か悪性か、検査してもらいました。検査の結果、悪性だと診断され手術をしました。左側の甲状腺を全部とったんですが、その後は何ともありません。ときどき、調べてはいます。

鎌田 手術直後は大丈夫だったんですか。

小沢 直後は手術をした部分が癒着して、声も出なかったんですよ。ちょうど地方選挙があって、応援演説を頼まれたんです。これで声が出なかったら、当選したばかりですが、国会議員を辞めようと思いました。ところが、街頭に立ってデカイ声を張り上げたら、声が出た(笑)。それで、何となく大丈夫だという感じになりましたね。

自民党幹事長辞任直後に 心筋梗塞一歩手前で入院

鎌田 甲状腺がんを乗り越えられてからはお元気で、40代の若さで自民党幹事長も務められましたが、その直後、心筋梗塞で入院されていますね。

小沢 49歳のときです。心筋梗塞の一歩手前の狭心症ですね。カテーテルを入れ冠動脈のプラークを薬で溶かしたら、パッと血液が流れ出たので、手術をしないで済みました。詳しいことは忘れましたが、そのとき、ステントを入れたのかも知れません。

鎌田 その後、心臓のほうは大丈夫ですか。

小沢 毎月検査をしていますが、全然、大丈夫です。医師からは、「49歳という若さだったから、助かった。あの当時の無茶な生活を続けて、60代だったら危なかった」と言われました。

鎌田 小沢さんが狭心症の治療を受けられた頃は、ちょうど心臓外科や循環器系治療の過渡期で、まだ多くは手術を行っていた時代です。そこへ新しくカテーテルによる治療が入ってきた頃です。小沢さんが短期間の入院で出てこられたのは、最新鋭の治療を受けられたからだと思います。

小沢 僕としてはできるだけ長く病院にいて、散歩などをして体力の回復に努めていたつもりなんですけれどね(笑)。

鎌田 現在、健康について、ご自身で何か気をつけていらっしゃることは?

小沢 そりゃもう、規則正しい生活をしています。ただ、あのとき、冠動脈の1本が何時間か詰まりましたから、心臓の一部が壊死しているんだそうです。ですから、走ったりすると、息が詰まってどうもダメですね。また、国会の壇上で原稿を見ながら、声を張り上げて長い演説を続けるのも、苦しくなって無理です。普通の会話や演説をするのは、何時間でも大丈夫なんですけれどね。

鎌田 選挙の応援演説はどうですか。

小沢 抑揚をつけて自由に喋るわけですので、全く大丈夫です。

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