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「つばさ支援基金」が第6期助成開始

高額療養費制度では救えない患者さんを救うために

取材・文●伊波達也
(2013年7月)

高額な医療費に苦しむ血液がんの患者さんを支えるために民間有志が設立した「つばさ支援基金」。その助成がこの春、第6期を迎えた。民間で患者さんの医療費を支えなければならない、その現実の裏側は――。






 血液がん患者団体「NPO法人血液情報広場 つばさ」代表の橋本明子さん

 つばさ支援基金への問い合わせ
つばさ支援基金
(日本臨床研究支援ユニット臨床研究コールセンター)
フリーダイヤル 0120-711-656(平日10:00~17:00)
寄付、その他の問い合わせ
NPO法人 血液情報広場・つばさ
電話 03-3207-8503(平日12:00~17:00)
ホームページ http://tsubasa-npo.org/
Eメール kikin@tsubasa-npo.org

治療を経済的理由で断念

昨今、がん治療の進化はめざましく、多くのがん種において患者さんを根治、寛解(ほぼ根治状態)、延命へと導く治療が次々に出現している。その一方で、長期にわたる不況も災いし、効果的な治療法や治療薬があるにも関わらず、経済的理由で、治療を断念せざるを得ない人々が増えているのも事実だ。

がん患者さんにとっての心配事は、病状に対してだけではない。「治療費の捻出」が大きなウエイトを占めている。

たとえば、従来の抗がん薬とは作用の違う、がんに関わる特定の分子などを狙い撃ちする分子標的薬は、各がん治療に対して次々に開発され、その有効性が認められている。

だが、月額数十万円という薬も多い。がんは長期にわたり治療し続けなければならず、かなりの出費を強いられる。なかでも、慢性骨髄性白血病などに有効な分子標的薬グリベックは、約9割の患者さんで、寛解が見込めるものの、月額約33万円という薬剤費がかかり、3割負担でも月額約10万円にもなる。

国の医療費助成である高額療養費制度は、手術や高額な薬で治療費がかさんだり、入院するなどまとまった出費があるときに利用できる制度だ。

たとえば70歳未満では、「上位所得者」「一般所得者」「低所得者」と区分している。

所得階層のなかで、1番多くを占める「一般所得者」で、月々の自己負担額の上限は8万100円と定められている。この制度を年に3回以上利用すると4回目以降の限度額は4万4400円に軽減される。

ところがこの「一般所得者」は単身の給与年収ベースで約100万円以上約790万円まで、3人家族だと約21 0万円以上約790万円までと、収入の幅が広すぎる。このため、このなかの所得の低いゾーンの人たちは、医療費の捻出に困窮しているのが現状だ。

グリベック=一般名イマチニブ

制度を補完するつばさ支援基金

コールセンターへは、助成適用外のがん種の患者さんからの電話も少なくない

そんな状況から、血液腫瘍患者支援団体のNPO法人血液情報広場・つばさは、2010年10月、「つばさ支援基金」という助成制度を設立。

支援の条件を満たした患者さんに対して、月額2万円の助成金給付を始めた。半年ごとに更新しながら、2013年の4月からは第6期の助成が開始されている。代表を務める橋本明子さんはこう話す。

「当会は、患者さんが生活者としてよりよい闘病生活を送れるよう支援することを目的に設立し、運営してきました。医療費については本来国が担うべき事柄だと思っていましたので、医療費の部分まで支援するつもりはなかったのです。しかし高額療養費制度をはじめ、所得が少ない人々に対する制度の改善が遅々として進まず、やむなくつばさ支援基金を立ち上げることになったというのが正直なところです。本来なら命を長らえる治療を経済的な問題で断念するというのは、命をみすみす放棄することに等しいですから。それをさせてはならないという思いで続けています」

橋本さんはつばさ支援基金を運営しながら、「血液がん・高額療養費制度の見直しを提案する連絡会」代表も務め、厚生労働省に高額療養費制度見直しを要望し続けている。

適用条件を改善利用者を増やす

つばさ支援基金の助成は、70歳未満の成人で、治療により1年以上寛解を維持している年収178万円以下の人が対象。また高校生以下の子供が1人いる家庭は年収240万円以下、2人いる家庭では380万円以下に適用される。

同基金は期ごとに見直しを続け、適用条件を改善してきた。適用疾患も現在では、慢性骨髄性白血病をはじめ、骨髄異形成症候群、消化管間質腫瘍(GIST)、多発性骨髄腫の4疾患に増えた。

現在、基金運営の体制はJ-CRSU(日本臨床研究支援ユニット)との協力体制により、コールセンターには3~4人のスタッフが常駐し、基金の利用を望む患者さんのための対応にあたっている。

「日々切実な思いで闘病している患者さんが電話をかけてこられます。質問シートにしたがって患者さんの状況を把握し、該当しそうな人には、申請用紙を送付し、それに記入していただいて、応募書類(診療明細、調剤明細、住民票、課税証明書ほか)とともに返信してもらいます。申請の判断は諮問委員の先生5人を交えて書類審査をして助成の対象を決めています」

現在までの諮問会議申請件数は845件(2010年10月~2013年4月)、合計認定者数126人(2010年10月~2013年4月)。

「『つばさ支援基金』がここまでできたのは、グリベックという薬のすばらしい効果への感銘が基本にあります。せっかく9割の人が治る薬。支援によって治療を継続してもらうことへの思いは大きいです」

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