難治性小児脳腫瘍の治療研究に光を!!

「小児脳幹部グリオーマ」に関する要望書を厚生労働大臣宛に提出

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文●貫井孝雄・小児脳幹部グリオーマの会代表
文●高木伸幸・小児脳幹部グリオーマの会署名活動リーダー
発行:2016年1月
更新:2016年4月

  

病気の過酷さ、事態の深刻さを厚生労働省の各担当課に訴える小児脳幹部グリオーマの会のみなさん

「小児脳幹部グリオーマ(びまん性内在性橋グリオーマ)」は、年間の小児がん患児の死亡原因の20%近くを占めるともいわれる難病です。患者会「小児脳幹部グリオーマの会」は、難治性の小児脳腫瘍治療研究の推進と、制度上の諸問題点を解消すべきとの要望書を厚生労働大臣及び関係課宛に提出しました。この活動に賛同する歌手、菅原洋一さんからのメッセージも届いています。

小児脳幹部グリオーマの会

ホームページ:glioma-net.com/page6

厚労省への要望書、及び菅原洋一さんの直筆のメッセージ全文は、患者会サイトで公開されています。

「小児脳幹部グリオーマ」で お孫さんを亡くした菅原洋一さん

歌手の菅原洋一さん

「82歳の私でなく、なぜ未来のあるあの子が神に召されなければならなかったのか、神の存在を疑いたくもなりました……」

2015年で芸能活動58年目を迎えた国民的歌手、菅原洋一さんは、2014年7月たった1人のかけがえのない18歳のお孫さんをがんで亡くされました。その病名は「小児脳幹部グリオーマ」。これは、脳の中枢にある脳幹内部にびまん性の悪性腫瘍が発生する病気で、発症から亡くなるまで平均約1年という最も過酷な難治性小児がんです。

「このような恐ろしい病気があるということなど全く知らず、さらに驚いたのは、この病気の研究が何十年も進んでおらず、この現代においても治療法も治療薬も見つかっていないという事実です……」

菅原さんの言葉通り、この病気の前には現代医学は無力です。重要な神経が通る脳幹内部への摘出手術は不可能、そして抗がん薬もほとんど効果がなく、唯一の標準治療である放射線療法も一時的な寛解に終わり、数カ月で再燃。やがて手足、顔面のまひ、嚥下障害等の神経症状が重くなり、意識、呼吸、血圧の維持が困難になり、死に至ります。

当会は、2011年5月に発足したこの病気の患者会です。年間の発症数約50~100例とされているこの希少疾患の状況が、インターネットを使った会の発足により、はじめてわかりました。患者家族の苦悩、そして毎月のように届く悲報。その現状を変えたいと、会員の1人が始めた「難治性小児脳腫瘍の医療環境改善のための署名」は、大きな反響を呼び、現在まで約2万筆を集めるに至っています。

2万筆の署名をもとに厚労省に要望

当会はその署名を参考意見とし、2015年10月、厚生労働大臣ならびに各関係課宛に主に以下の内容の要望書を提出しました。

●当疾患を含む難治性小児脳腫瘍の治療研究

近年の遺伝子解析技術の急速な進歩で、当疾患は、海外では研究が進みつつあります。しかし、国内では、希少な小児脳腫瘍に着目する民間の製薬会社は皆無ですし、研究者も資金も圧倒的に不足しています。ですから国の研究支援への強い取り組みがぜひとも必要です。それには海外の研究機関との連携体制の構築や、有効な薬が開発されたとき、最短で認可する措置の検討、そして多くの専門家が研究に手を挙げていただくことが必要です。

●小児慢性特定疾病制度の手続きの点

入院初期の家族が余命宣告後の衝撃の中での煩雑な制度申請手続きの簡素化。また、治療が始まる前からの制度の周知の徹底と、申請が遅れた場合の遡及処置を要望。

●患者やご家族への緩和的・精神的なケア

闘病中の患児への緩和的・心理的ケア及び家族、また遺族への有効な精神的なケアが行われるような支援制度の確立や人材の育成を要望。

●障害者認定の迅速化

終末期に患児が自宅で家族とともに過ごせる在宅療養。それに必要な多くの支援が障害者認定によって可能となりますが、現状では認定される前に亡くなるケースがほとんどです。そこで認定の迅速化を求めています。

私たちの要望の目的の1つは「余命宣告を受けた難治性の小児がん患児とその家族のための制度」を作ること。お子さんを亡くした悲しみは消せないにせよ、終末期の療養が家族にとっても納得のいくものであったか否かでその後の遺族の心情が全く違ってきます。その様な視点を持った制度を作りたいのです。

「今現在このような厳しい病気とひとりで闘っている子どもたちのためには、まだまだできること、してあげなくてはならないことがあります。どうか手を貸していただけますよう強くお願いいたします」

菅原さんはその悲しみを力に変え、我々の背中を力強く押していただきました。当会としてもこの病気の1日でも早い治療法の確立、そして小児がん患児・家族への各支援体制が整うことを目指し、今回の要望提出を小さな一歩として、今後も一層努力していきたいと思っています。

患者会は遺族が中心となり、病気の啓蒙・啓発・支援活動を行っている

署名協力を呼びかける患者会のメンバー

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