新しくWell-beingをテーマに 4つの活動を柱に日本骨髄腫患者の会の輪を広げたい

取材協力●上甲恭子 日本骨髄腫患者の会代表
取材・文●がんサポート編集部
発行:2022年7月
更新:2022年7月

  

「日本骨髄腫患者の会」代表の上甲恭子さんは、多くの多発性骨髄腫の患者さんのために精力的に活動を続けている。この病気の特徴は、治癒することが難しく、病状がつねに不安定であり、患者さんの気持ちを陰ながらどのように支えていくか難しいとしながらも、2022年5月に開催された第47回日本骨髄腫学会学術集会では演者のひとりとして講演。企業セミナーへも積極的に参加し、活動の輪を広げている。

父の多発性骨髄腫をきっかけに入会、そして、会のテーマを「Well-being」に

上甲恭子さんが日本骨髄腫患者の会へ入会したのは、父親が多発性骨髄腫(MM)に罹患したことがきっかけだった。当時、上甲さん自身も病気についてまったく知識もなく、主治医から「多発性骨髄腫」という病名を告げられても、「それってどんな病気なの?」という疑問のほうが先に立った。そこでいろいろとネットで検索して、日本骨髄腫の会の存在を知ることができ、入会に至ったという。

その日本骨髄腫の会は、1997年に初代の代表が、米国の「国際骨髄腫財団」の日本支部として立ち上げた。初代の活動方針は、「Information can save your Life 」(情報は命を救う)を掲げて活動の根幹としていった。かつては、骨髄腫関連の情報は少ない上に、治療法も限られ、海外から治療薬を個人輸入するケースもあったという。

しかし、近年には情報も多くなり、治療薬も増え、かつてと比較して治療選択肢も増えてきた。そこで、上甲さんは多発性骨髄腫の患者さんたちと「何を大切に生きればよいのか」を自問自答しながら考えていた。

そんななか、昨年(2021年)開催された日本骨髄腫学会学術集会にオンラインで参加したときのこと。ある演題で「Well-being」という言葉を聴いたとき、ビビビッときた。

そして、「Well-being」(肉体的にも、精神的にも、社会的にもすべてが満たされた状態)を新しいテーマに、患者の会の活動をすると決めた。そこで、変更後最初に発行する情報誌「がんばりまっしょい」(第17号/2022年3月発行)のテーマを「Well-beingでいこう!」にした(写真)。

 

表紙写真:クオッカ(オーストラリア南西部のロットネスト島に生息)カメラマン:福田幸弘(しあわせ動物写真家)

<情報誌「がんばりまっしょい」17号(2022年3月20日発行)の内容>

●テーマ
Well-beingでいこう!

●主な内容
・インタビュー 近畿大学奈良病院 花本 仁先生
・座談会 徳島大学病院 安倍正博先生
・日本赤十字社医療センター 石田禎夫先生
・LIGARE 血液内科太田クリニック・心斎橋 太田健介先生
・講演録 「骨髄腫ってどんな病気?」
・患者さんインタビュー

現在、日本骨髄腫患者の会の登録会員数は、およそ3,000名だという。

患者さんの心の支え、情報誌「がんばりまっしょい」をさらに充実

多発性骨髄腫は、治癒が難しい病気。他のがん種であれば、早期発見、早期治療で治癒することも多く、ある期間、治療をがんばれば治癒ということもある。ところが多発性骨髄腫の場合は、定期的に治療を受けていても不安感や心的不安定さとつきあっていかなければならない。つまり、毎日の生活のなかで、自分の心のバランスをとっていくことが必要となっていく。

本会に入会することにより、骨髄腫とはどんな病気なのか、また、全国各地で開催しているセミナー等に参加し、同じ病気の仲間との輪ができ、心のバランスを保つひとつにもなるという。さらに年2回発行の情報誌「がんばりまっしょい」では、座談会形式で骨髄腫の専門医と疾患の基礎的な話から、最新の薬物療法までをわかりやくまとめ、患者と家族のインタビュー記事では「Well-beingな方々」と題し、骨髄腫を患いながら生き生きと生活されている方を取り上げている。

しかし、コロナ感染症の流行で、それまで全国各地で開催してきたセミナーを全面的に中止せざるを得なかった。今後もコロナが完全に終息するまで、セミナーの開催は難しいという。その理由は、感染リスクの高い患者さんがほとんどであるからだ。

コロナ前の開催では、日本の罹患者数が少なく、高齢の患者さんが多いせいもあり、参加人数はそれほど多くはなかったが、同じ病気の方が数十名集い、「まあ、あなたと同じ先生ね」などと会話も弾み、和気あいあいとした雰囲気がただよっていたという。

よいこころみ「こころレター」キャンペーン

2022年春に実施された「こころレター」(企業が多発性骨髄腫患者さんに自分に宛てたレターを書くという企画)のキャンペーンの反響について、上甲さんに伺ってみた。

まだ把握できていないが、印象としては大変よいこころみであったという。

レターキット(レター、封筒、案内書など)全体が、きれいなカラートーンで作られており、眺めているだけでも心が落ち着くという。

さらに、日常では、自分の心との対話の習慣というものがあまりない方が多いので、「こころレター」に応募しない方がいるとしても、自分自身と向き合って書いている方はおられたのではないかという。

多発性骨髄腫の具体的な治療は、個々の病態によって異なるが、およその平均の通院間隔は、4週間1回のペースでの薬物療法。週2回の方もいるし、内服の方も、経過観察の方もいろいろであるが、この病気は、いつなんどき動き出す(病態の変化が起こる)か不明なので、なかなか先行きの見えないものという。その意味でも「こころレター」実施期間4カ月は、いい期間だという。さらに企業が、患者さんを対象としたこのようなキャンペーンを実施したことは大変ありがたいと述べた。

最後に上甲さんは、今後の日本骨髄腫患者の会の活動について以下の4つを力強く述べた。

1 多発性骨髄腫の患者さんとその家族の闘病の道が平たんであることを願い発行している情報誌「がんばりまっしょい」は継続していく
2 コロナが終息すれば、イベント(セミナー)も再開していく
3 多発性骨髄腫を治癒可能にするため研究助成事業の継続をしていく
4 多発性骨髄腫の患者さんのため行政・政治にも働き続ける

 

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