乳がん患者さんたちの関心が高まるなかで

「乳房再建手術がわかる」 セミナーを開催

【閲覧制限なし】
文●片野佐保 NPO法人E-BeC
発行:2016年6月
更新:2016年9月

  

E-BeC 第2回目の「特別セミナー」を東京・銀座の時事通信ホールにおいて開催しました。今回のセミナーは「自家組織とシリコンインプラントによる乳房再建のすべてをお教えします」のテーマでした。

乳房再建を考えている乳がん患者さんやそのご家族など約200人が、この分野の第1人者である横浜市立大学附属市民総合医療センター形成外科部長の佐武利彦さん、ブレストサージャリークリニック院長の岩平佳子さんの講演を熱心に聴講され、乳房再建手術への関心の高まりをうかがわせるものとなりました。

高まりをみせる「乳房再建術への関心」

2016年3月27日開催されたセミナー。横浜市立大学附属市民総合医療センター形成外科部長 佐武利彦さん(左)とブレストサージャリークリニック院長 岩平佳子さん

現在、日本人女性のおよそ12人に1人が乳がんにかかるといわれ、罹患率は年々増加しています。早期発見・治療ができれば比較的予後のよいがんですが、患部の摘出手術によって胸の形は大きく変形し、大きな精神的苦痛を残す患者さんも少なくありません。

「乳房再建手術」は、乳がん手術で損なわれた乳房の形を取り戻すことを目的とした形成外科分野の手術です。手術を受けることで患者さんは女性としての自信を取り戻し、再び積極的な人生を送ることができるようになるという意味で、「乳房再建手術」には患者さんたちのQOL(生活の質)を高める大きな意義があります。

2013年から2014年にかけて、シリコンインプラントを用いた乳房再建手術が保険適用の対象となり、患者さんたちの経済的負担が大きく軽減されました。手術を手がける医療機関も増加しており、乳がん患者さんが乳房再建手術の存在を知る機会も広がっています。

しかし乳房再建に関心をもつ患者さんたちからみると、手術にはどのような利点とリスクがあるのか、自分にはどのような手術方法が合っているのかなどについて、適切かつ正確な情報を得られる機会はまだまだ限られているのが実情です。

医療機関の多い大都市部と地方都市での情報格差も縮まっているとはいえません。

自家組織とインプラント 各分野の第1人者を講師に

講演者のお話を熱心に聴く参加者の皆さん

乳房再建手術に関する情報を必要とする患者さんたちに向け、正確で幅広い情報の提供をめざして活動するE-BeCでは、そのための機会を増やすことを目的に、地方都市を訪問して開催する「乳房再建全国キャラバン」や、東京での「特別セミナー」を開催してきました。

今回は、乳房再建手術における代表的な2つの術式である「自家組織」を用いた再建と「シリコンインプラント」による再建の両方をテーマに、佐武利彦さんは自家組織での再建、岩平佳子さんにはシリコンインプラントでの再建について講演されました。

また、米国乳がん・卵巣がん患者団体「SHARE」、日本語部門代表のブロディー愛子さんによるアメリカの乳房再建事情に関する講演も行われました。

あわせて、再建手術経験者さん9人の胸を実際に見て触れることのできる「体感会」なども企画。参加者には乳房再建について具体的かつ幅広い知識を得てもらう機会となりました。

体感会と並行して行われた両講師への質疑応答も大いに盛り上がり、乳房再建に対する関心が高まっている状況を感じさせるものとなりました。

その一方で、ライフスタイルの変化などを背景に日本人女性の乳がん罹患率は徐々に高まりつつあり、乳がんはあらゆる女性にとって身近な病気となっています。

E-BeCではこれからも、乳がん患者さんはもちろんのこと、こうした時代に生きるすべての女性に役立つさまざまな情報発信を続けていきたいと考えています。

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