治療しながら、妊娠・出産ができる方法は?

回答者:秋山 秀樹
東京都立駒込病院 血液内科医長
発行:2007年10月
更新:2013年12月

  

1年半前、慢性骨髄性白血病と診断されました。現在、グリベックを飲み続けています。数カ月間の休職後、復職しました。仕事も日常生活も、診断前とほとんど変わらない状態です。ただ、薬を飲み続けると、妊娠・出産は難しいと言われました。治療開始前に採卵し、凍結保存を試みましたがうまくいきませんでした。海外では治療を一時中止して、出産をしたケースもあると聞いています。治療を続けながら、妊娠・出産ができるようにする方法はないのでしょうか。

(福島県 女性 36歳)

A 危険なことはあえて行なわない

グリベックを飲んでいるときに、妊娠・出産に関わるトラブルがどの程度の頻度で発生するのかなどのデータは、現時点では、発表されていません。

その理由は、グリベックを服用中に妊娠・出産することは非常に危険性が高いために、誰もデータを出そうとしないからです。誰もデータを出そうとしないほど、妊娠・出産に関わる危険性が高いともいえるわけです。

グリベックは、細胞分裂に深くかかわっていますから、妊娠と出産、胎児への影響が大きいと考えられているのです。グリベックの服用を中止して、妊娠・出産をすることに関するデータもありません。確かに、服用を中止すれば、グリベックの直接的な胎児への影響が取り除かれると思います。しかし、妊娠・出産のために服用を中止するということは、再発を覚悟するということでもあります。服用を中止する期間がどれくらいの期間なら病状が悪化しないかなどについてもデータはありません。

また、慢性骨髄性白血病のままの状態や、再発した状態で妊娠・出産をした場合に、胎児にどんな影響が出るのかに関してもデータはありません。

つまり、服用を中止して妊娠・出産することに関しては、わからないことだらけなのです。

グリベック以外の薬に切り替えたとしても、状況は同じです。グリベックをインターフェロンや、新しい分子標的薬などに切り替えて、治療を続けながら妊娠・出産をすることも胎児への危険性が高いと考えられます。危険なことはあえて行う必要はないと思います。

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