タシグナ、スプリセルの選択方法を知りたい

回答者:薄井 紀子
東京慈恵会医科大学付属第3病院 腫瘍・血液内科診療部長
発行:2011年8月
更新:2013年12月

  

慢性骨髄性白血病を患っており、グリベックを服用していますが、効果もだんだんなくなってきています。タシグナやスプリセルといった薬があると聞きましたが、どちらが私にむいているのか、選択法や副作用を知りたいです。

(長崎県 女性 69歳)

A 副作用の出方によってどちらがいいか判断する

慢性骨髄性白血病の治療には、分子標的薬のグリベックが第1選択肢となります。グリベックを服用して5年後に悪化したり再発したりするようなことは、極めてまれです。きちんと服用していれば、8年目に悪化する可能性は1パーセントもないという結果も出ています。したがって、グリベックが効かなくなった場合は、まずは、きちんと内服ができたかどうかを確認し、毎日300ミリグラム以上を内服していても効果がなくなった場合には、グリベックの増量や、新規薬剤のタシグナやスプリセルへの変更を考慮します。

グリベックが効かなくなる理由はいくつかあります。まず、白血病細胞の増殖を止められない場合です。

副作用で服用が継続できなくなる場合もあります。けいれん、むくみ、吐き気やおう吐など多くは軽度であり、投与を続けるうちに軽減しますが、長く続くこともあります。そのため、服用を怠けたりしているうちに効果を失うといった場合に、再発や病気の増悪の危険性があります。

また、高価な薬剤なので、経済的理由から服用を控えてしまう場合もあります。グリベックの副作用で十分な効果が得られない場合をグリベックに不耐容、きちんと服用しているのに効果が失われた場合をグリベックの耐性と呼びます。

タシグナはグリベックの兄弟姉妹の薬剤です。1日2回空腹時に服用し、グリベックと比較して副作用は少ないのですが、糖尿病などが出やすいのが特徴です。

スプリセルはグリベックに比べて非常に強い効果を有しており、グリベックと同様1日1回の服用ですが、胸水貯留が比較的多く発現します。肺疾患や呼吸器障害などをお持ちの患者さんには、お勧めできません。ただし、胸水が溜まる患者さんは、免疫細胞の力が強く出るため、高い有効性が得られるという報告もあります。

グリベックの治療を受けた患者さんに対しては、両剤ともに骨髄抑制が強く現れる傾向があります。 ご質問の患者さんのように、グリベックの効果が現れなくなった場合には、従来はグリベックの増量を試みてきました。

しかし、グリベック増量とタシグナやスプリセル服用の比較試験の結果から、タシグナやスプリセルの有効性が高いことが示され、グリベック不耐容および耐性の患者さんは、タシグナかスプリセルを選ぶべきです。

そうした結果を受けて、グリベック不耐容・耐性の慢性骨髄性白血病患者さんに対して、グリベックとタシグナ、グリベックとスプリセルは、慢性骨髄性白血病の初回治療での比較試験が行われました。その結果、どちらの薬剤もグリベックを上回る有効性が確認され、初回治療として、第1に選択してよい薬剤になりました。今後は、慢性骨髄性白血病の初回治療では、グリベック、タシグナ、スプリセルの3剤のうちの1つを選択することになります。

グリベック不耐容の患者さんで、効果が同様のタシグナとスプリセルのどちらを使うかということですが、両剤にはグリベックのように長期にわたった服用効果の成績がありません。そのため、選択には患者さんの副作用の出方がポイントとなってきます。

両薬の副作用として、好中球減少や血小板減少などが挙げられます。タシグナの副作用としては、血糖値の上昇やアミラーゼやリパーゼといったすい臓の消化酵素の上昇が挙げられます。タシグナは糖尿病や耐糖能異常(糖尿病予備軍)の患者さんは避けたほうがよいでしょう。スプリセルは胸水が溜まりやすいこと以外に、消化管出血が起こりやすいといった特徴があります。そのため、高血圧や自己免疫疾患のある人は、スプリセルは避けるべきでしょう。

タシグナとスプリセルの選択は、副作用を考え、患者さんの体質などのバックグランドを考慮して決めることになります。担当医とよく相談することをお勧めします。

グリベック=一般名イマチニブ タシグナ=一般名ニロチニブ スプリセル=一般名ダサチニブ

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