慢性骨髄性白血病の子供。このままグリベックで治療を続けたほうがいいか

回答者●鈴木憲史
日本赤十字社医療センター骨髄腫・アミロイドーシスセンター長/治験事務局長/輸血部長
発行:2019年6月
更新:2019年9月

  

6歳で慢性骨髄性白血病(CML)を発病した長男のことでご相談です。現在、12歳ですがグリベック(一般名イマチニブ)3錠服用でMR(分子遺伝学的奏効)4.0(BCR-ABL=0.01)を行ったり来たりしている状態です。グリベックでの治療は、副作用がほとんどないため、本人はこのままの治療で良いと思っているようです。

しかし、親としてはMR4.5を目指し、最終的には薬の中断・中止を目指したいと考え、スプリセル(一般名ダサチニブ)やタシグナ(一般名ニロチニブ)へ変更し、BCR-ABL数値が下がらないかと思っています。

ただし、薬を代えたことで、今より副作用が強くなる可能性も高く、現在通院している病院も車で1時間の距離にあり、不測の事態が起きた場合、非常に困るため躊躇(ちゅうちょ)している状態です。

子どもの将来を考えると、MR4.5を目指し、投薬中止が理想ですが、現状維持と本人のQOL(生活の質)を考えると、このままグリベック治療の継続が望ましいようにも考えられます。今後どのような治療を行うのがベストでしょうか。

(43歳 女性 群馬県)

スプリセルやタシグナに変更してMR4.5を目指すべき

日本赤十字社医療センターの
鈴木憲史さん

6歳から慢性骨髄性白血病を発症しているということはなかなか大変な患者さんだと思いますが、BCR-ABLの数値がMR4.0というのはかなりいい状態なんです。

もう6年間もこの薬の副作用が少ないからという理由で続けているようですが、現在では初発の患者さんでもファーストラインで第1世代のグリベックではなく、第2世代のスプリセルやタシグナを使用しているので、この患者さんの場合、まだ12歳ですからスプリセルやタシグナに変更してMR4.5を目指すべきだと思います。

それと薬を代えたことで、副作用が強くなったり不測の事態が起こったりしたらと心配されているようですが、グリベックの副作用で顔面のむくみが出たり、長期に使用することで腎臓に障害が発生するリスクのことを考えると、薬を代えることでの副作用はむしろ少ないように思いますね。

また、病院からの距離が1時間あることで不測の事態になった場合のことを心配されていますが、1時間ぐらいで急に体調に急激な変化が表れることはまずありません。

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