父親が再発切除手術を拒んでいるが

回答者●大矢雅俊
獨協医科大学埼玉医療センター外科教授
発行:2020年3月
更新:2020年3月

  

70歳の父親が、昨年5月に大腸がんステージⅢと診断され手術しました。その年の12月、肝蔵に腫瘍が3つ見つかりました。主治医から切除を勧められていますが、大腸切除の手術が大変だったようで「もう手術は受けたくない」と言って、手術を拒んでいます。何とか手術を受けさせたいのですが、どのように説得したらいいのでしょうか。また、父親の言うようにこのままほっておいていいものかどうか悩んでいます。

(43歳 男性 千葉県)

切除手術も化学療法も拒めば、生命予後は2年以内

獨協医科大学埼玉医療センター
外科教授の大矢雅俊さん

大腸がん手術をしてから7カ月しか経過していなくて、肝臓に腫瘍が転移していることから考えて、今回肝転移を切除する手術を行ったとしても、比較的短い間隔で再度、転移が起る可能性があります。

しかし、切除手術をしなければ、このがんは治らないというのも確かです。患者さんが今の時点での切除手術を拒まれるのであれば、一旦経過観察として3カ月後くらいに、他に転移が出てないということが確認された段階で、切除手術を強く奨める説得をされたらいかがでしょう。

ただし、この経過観察中に転移病巣が進行したり、他に転移が出てきた場合、状況によっては切除手術不可能ということになるかもしれません。

切除手術がどうしても嫌であれば、化学療法を主治医に検討してもらうことになります。患者さんの大腸がんが抗がん薬に反応するタイプのものであれば、最近の化学療法ならば、年単位での生命予後が得られる場合もあります。

その場合の抗がん薬はエルプラット(一般名オキサリプラチン)、もしくはカンプト(同イリノテカン)+5-FU(同フルオロウラシル)+分子標的薬で、分子標的薬の種類は遺伝子検査によって決めます。

また、この患者さんの場合、切除した後にも再度転移が発生しやすいと予想されるので、術後にも化学療法を行っておくほうがいいでしょう。

切除手術だけでなく化学療法も嫌ということで、切除手術も化学療法も行わない場合、生命予後は通常2年以内ということになってしまいます。

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