術後の排便痛の対策は
60代の父親のことでご相談があります。直腸がんステージⅠと診断され腹腔鏡下で低位直腸がん摘出し、一時的に人工肛門(ストーマ)を造設しました。術後5カ月で人工肛門を閉鎖し、自力排便しています。ただ、一度排便すると1時間以内に立て続けに少量の排便があり、排便痛がつらい様子です。この排便痛に対し何か対策か薬などはないのでしょうか。
(38歳 女性 東京都)
A 人工肛門にするか、副作用の少ない鎮痛薬の使用を
獨協医科大学埼玉医療センター
外科教授の大矢雅俊さん
外科教授の大矢雅俊さん
ご相談の排便痛は人工肛門を閉じて2年ぐらいは比較的高頻度に出る症状ですが、普通は徐々に改善してくるものです。ですから痛み止めを服用して、症状が改善してくるのを待つことになります。しかし、2年が経過しても排便痛が改善されない場合は、再度、人工肛門にしたほうが患者さんのQOL(生活の質)は良くなることは十分にあります。ただその場合、人工肛門は通常は永久的になります。
また、排便痛が後から発生してくる場合には局所再発の症状であることがあります。
どうしても、2年経過しても排便痛が改善されず、人工肛門は嫌だということであれば、慢性疼痛に投与できる副作用の少ない鎮痛薬、例えばタペンタ(一般名タペンタドール)などもあるので、薬の種類は主治医とよく相談して決められたらいかがでしょうか。