メラノーマ手術 リンパ節の切除範囲は?
左足の裏に深さ1㎜のメラノーマ(悪性黒色腫)ができ、手術をすることになりました。センチネルリンパ節生検による手術ですが、もしも転移がある場合の切除範囲を教えてください。また、転移があった場合に切除すると、どんな後遺症のリスクがありますか。
(55歳 男性 熊本県)
A 陽性なら大腿部付け根を切除
メラノーマの手術は①原発巣のみの切除、②原発巣切除にプラスして所属リンパ節を切除(リンパ節郭清)する方法があります。
①はリンパ節転移のない場合、②は遠隔転移はないものの、所属リンパ節への転移およびその可能性がある場合に局所再発予防を目的に行います。
近年、このリンパ節郭清の研究が進み、切除したリンパ節を詳しく調べてみると転移のない例が少なくないことがわかりました。その場合、結果的にリンパ節郭清は過剰な切除であったということになります。そこでリンパ節郭清の必要性の有無を事前に判定するために開発されたのがセンチネルリンパ節生検です。
リンパ液の流れに乗って真っ先にがん細胞が転移するリンパ節をセンチネルリンパ節といい、色素やラジオアイソトープを注射して見つけることができます。
手術の冒頭で、そのリンパ節を切除し、顕微鏡で見てがん細胞が含まれていれば、その下流のリンパ節への転移の可能性が高いとしてリンパ節郭清を行い、がん細胞が含まれていなければ下流のリンパ節にも転移がないとして、リンパ節郭清を省略。いわゆる縮小手術です。
これが可能であればリンパ浮腫など、術後の後遺症の頻度を低下させることができます。
この方法はメラノーマでは腫瘍の厚さが1~4㎜の場合、適用となります。
腫瘍が厚いほどセンチネルリンパ節への転移率は高くなるのですが、外国の臨床試験では腫瘍の厚さが1.5㎜以下では4.8%でした。
もしセンチネルリンパ節への転移が陰性であれば切除範囲はそこまでです。もし陽性であれば引き続き所属リンパ節の郭清を行います。
その部位は大腿の付け根のリンパ節で、施設によってはそこからさらに遡ってお腹の中のリンパ節郭清を行う施設もあります。傷の大きさは前者は15㎝ほど、後者は20㎝ほどです。
後遺症として軽重の差はあれ、リンパ浮腫は必発です。むくみやしびれなどの症状が出ますが、数カ月で退くものもあれば残ってしまう場合もあります。
むくみは弾性ストッキングによる圧迫、リンパマッサージなどで対処するのが一般的です。